
「A代表が一つの夢なので辿り着きたい」
6月15日、2025年度男子日本代表チームディベロップメントキャンプのメディア公開が行われた。トム・ホーバスヘッドコーチはこの合宿が8月に開催されるFIBAアジアカップ2025に向けたトライアウトの一環であると強調し、若手のステップアップに大きな期待を寄せている。この合宿にはNCAAでプレーする選手たちが多く参加。その意図をホーバスは、「11月と2月のFIBAウィンドウは、NCAAのシーズン中だから来られないです。だから今しかないです」と語る。
このNCAA組の中で最もレベルの高い環境に身を置くのが、ボストンカレッジでプレーしているポイントカードのテーブス流河だ。同校が所属するACCカンファレンスは大学バスケ界随一の名門であるデューク大、ノースカロライナ大を中心とした強豪揃い。その中で昨シーズンのテーブスは1年生として24試合出場と貴重な経験を積んだ。
全米屈指のパワーカンファレンスで1年戦い抜いたことでテーブスは、いろいろな面で成長を遂げた。それはスキルだけでなく、見た目にも表れており、厚みを増した体は「12kg増えました」と明かす。「むこうだと細いと言われ、相手に狙いどころとしてアタックされるので、そこは頑張りました」とフィジカル強化に励んだ。
テーブスがディベロップメントキャンプに参加するのは昨年についで2度目となるが「大学で1年間やってきた経験、前回の経験を生かして去年よりは余裕を持ってできている感じです。いい結果を出せるのではないかと思います」と語る。
そして大学1シーズン目を次のように総括する。「山あり谷ありで、活躍できた試合もあれば1分も出られない試合もありました。ただ、悪い時があったからこそ今に繋がっていると思います。ACCでは、どのチームにもNBAドラフトにかかりそうな選手はいます。その中でも技術を生かせることは自信になりました」
また、今回はディベロップメントのみの参加で終わらせるつもりはない。「A代表が1つの夢なので辿り着きたい。最終的にはロスオリンピックに出たい気持ちが強いです」

「お兄ちゃんよりはスキルを持っている自信はあります」
こう代表への思いを語るテーブスだが、A代表デビューに向けては激しい競争に勝たないといけない。ディベロップメントキャンプでも、同じポイントガード登録で中村太地、湧川颯斗、ロロ・ルドルフ、瀬川琉久がいる。
ライバルたちとの差別化を図る上で、テーブスは「シュートだけ、パスだけでなく、バランスの良いポイントカードとしてアピールしたい。そういう選手は少ないと感じているので、そこをアピールできれば周りから飛び抜けられると思います」と総合力の高さを武器にしたいと語る。
そのためにも大切にするのが「相手のサイズ、身体能力が上がるなど、どんな高いレベルでプレーすることになってもシュート確率、プレーの効率性を一番、成長させたい部分として重視しています」と、プレーの精度向上だ。
テーブスの身長184cmは日本基準だとポイントガードとして大柄な部類に入るが、NCAAではアンダーサイズ。また、自身よりも身体能力で大きく上回るガードと日常的にマッチアップしている。だからこそ、次のような選手像を目指している。「前からコーチ陣に言われているのはスティーブ・ナッシュだったり、今のNBA選手だとトレイ・ヤングとかです。小さいポイントガードはディフェンスで結構アタックされるかもしれないですけど、オフェンスでカバーできるような選手になりたいです」
また、代表でのサバイバルレースとなれば、パリオリンピック代表である兄テーブス海も倒さないといけないライバルの1人だ。「お兄ちゃんはいろいろなところでプレーしている経験があり、自分よりもサイズがあります。そしてIQも優れていて憧れている存在です」と海への尊敬を強調するが、同時に「お兄ちゃんよりはスキルを持っている自信はあります」と負けん気の強さを見せる。
他の司令塔とは違う個性を持ったテーブスが、どこまで代表への序列を高めていき、アジアカップのメンバー入りまでステップアップできるのか。海との兄弟共演を含め、今夏の代表活動でどんな結果を出してくれるのか楽しみだ。