チェット・ホルムグレン

「自分たちがやってきたことを信じて、焦らず確実に」

サンダーが大逆転負けを喫したNBAファイナル第1戦を振り返ると、スモールラインナップがペイサーズの長所を削ぐ思惑通りに機能せず、彼らの得意なハイペースのバスケに巻き込まれたのが痛手だった。大量リードではなくても常にサンダーが先行する展開で、ペースを落として時計を進ませ、彼らが走る展開を1ポゼッションでも減らしていれば、逃げ切ることができていたかもしれない。

しかし、指揮官マーク・ダグノートはアイザイア・ハーテンシュタインを先発から外してケイソン・ウォレスを抜擢したし、第4クォーターにも最初はハーテンシュタイン、途中からチェット・ホルムグレンと1ビッグを使い、残り3分半からはホルムグレンまで下げた。スモールラインナップの機動力でペイサーズを抑え込む戦術は、少なくとも前半は機能してペイサーズから19ものターンオーバーを引き出しており、ダグノートはこの再現を狙ったと言える。それと同時に、ホルムグレンもハーテンシュタインも不調だったために、大事な場面で1ビッグ起用を躊躇したとも言える。

ホルムグレンはチームが優勢だった第3クォーターまででも、19分のプレーで6得点5リバウンドと振るわなかった。攻守ともプレーに絡めておらず、またスクリーンを効果的に張ることができないことで、シェイ・ギルジャス・アレクサンダーとジェイレン・ウィリアムズによる第3クォーターまでのフィールドゴールがで38本中15本成功(39.5%)と低調な一因となった。そして第4クォーターにハーテンシュタインもホルムグレンも良くなる兆しが見られないとなれば、消去法的にスモールラインナップを選択せざるを得なかった。

ホルムグレンは初戦のパフォーマンスを「もっとペースを落として、リム周辺でのプレーをしっかり決めるべきだった。その結果の1点差負けは悔しくてたまらない」と振り返る。

「ペースを落として、相手のポジション取りをもっと理解しなきゃいけない。ただ、1対1の場面ではペースを落とすより自分たちがコントロールしている状況を保つのが大事だ。ペースばかりに集中すると、そればかりに気を取られて他が疎かになる。意識はするけど、試合の流れに乗ってプレーすることも大事なんだ」

チームとしての課題は多々あるが、彼はまず自分自身の課題に向き合おうとしている。「ディフェンスではオフボールの時も影響を与える存在になり、オフェンスではアグレッシブになること。ゲーム1でも良いチャンスはあった。自分たちがやってきたことを信じて、焦らず確実にモノにしたい

そしてホルムグレンは「僕たちは若いチームで、経験不足の面はあるかもしれないけど、成熟度が足りないとは思わない」と断言した。

「僕たちは手痛い敗北も粘り強く戦っての勝利も経験してきた。だから、本当に大切なのは団結することだと思う。プレーオフで一敗すると、世界が終わったような気分になる。そんな感情になるのは当然だけど、感情と勝敗はまた別のものだ。感情に流されずに、どうすれば良くなれるかを考え、チーム一丸で実行するんだ」

痛恨の逆転負けだったし、彼自身のパフォーマンスも低調だったが、ホルムグレンは自信を失ってはいないし、ここから巻き返せると信じている。第2戦に向けて彼はこう言った。「僕がどう変わるかを見てほしい」