「ゲームプランは変えない。遂行力の勝負になる」
ナゲッツとの『GAME7』を翌日に控えたチーム練習を終えた後、サンダーの指揮官マーク・ダグノートはリラックスした表情で「試合を楽しみにしている」と語った。
プレッシャーのかかる『GAME7』ではあるが、奇策を採るつもりはない。選手たちは何も隠すことなく「いつも通りのプレーをいかに徹底できるか」と口々に語り、ダグノートも「この状況で新しい何かを採り入れるということは、今までが間違ってきたことを意味する。今日の練習で新しいものは何も導入しなかった。ただ時間をかけて築いてきた習慣を信じ、自分たちらしくプレーする」と続けた。
チェット・ホルムグレンもこう語る。「第6戦から改善すべき点を確認したけど、ゲームプランを変える必要はない。やるべきは、より正確に遂行すること。相手に簡単なチャンスを与えないことだ」
カギとなるのはニコラ・ヨキッチ対策だ。サイズとスキルとバスケIQを最高レベルで兼ね備えたヨキッチを完全に抑え込むことは不可能でも、やるべきポイントは明確だ。ヨキッチの得点は許容しても、変幻自在のプレーメークから他の選手まで勢いに乗せる状況を作らないこと、タフショットに追い込んだ場面でファウルをしないことの2つだ。
ホルムグレンがリーチを生かし、アイザイア・ハーテンシュタインがフィジカルで削り、ジェイリン・ウィリアムズがしつこく貼り付く三者三様のヨキッチ対策は機能している。ここまでの6試合で、彼らはヨキッチのアシストを5.7に抑え込み、4.3のターンオーバーを引き出している。それでもフリースローは平均8.8本を与え、うち3試合で12本以上の『簡単なチャンス』を与えている。ここをいかに我慢できるかがカギとなる。
ホルムグレンは言う。「ここまで来れば、お互いに何をしてくるかは分かっていて、秘密はない。ナゲッツも大きくゲームプランを変えてくることはないと思う。僕たちも同じで、遂行力の勝負になる。勝敗は意識せず、一つひとつのポゼッションで高い集中を保ちたい。その状態をできるだけ長く維持できるようベストを尽くすよ」
ナゲッツはクリッパーズとのファーストラウンドで『GAME7』を制している。この時はナゲッツがホームコートアドバンテージを生かした形となったが、今回はサンダーに地の利がある。「慣れ親しんだ会場で、自分のルーティーン通りに試合に入れるのは有利だよね。ファンは全力で応援してくれるだろうから、僕たちも全力で行くよ」とホルムグレンは笑顔を見せた。
ダグノートも、この『GAME7』をホームで戦えることに大きな価値を見いだしている。「今夜は自宅で眠り、明日の試合を迎えられる。『GAME7』を戦うならアウェーよりホームの方がずっと良い。これは我々が1年間かけて勝ち取ったものだ」と指揮官は言う。
ただ同時に、それが絶対的なアドバンテージではないことも強調した。「結果の重大さから『GAME7』は特別だと思いがちだが、いつもと同じ競技を、いつもと同じルールでやることを忘れてはいけない。ナゲッツにも我々にも同じだけ勝つチャンスがある。あとは、チームとして集中し、最善を尽くす能力にかかっている」