ビクター・ウェンバニャマ

「最高である必要はない。ただ普通にプレーすれば十分」

NBAファイナルの第1戦、ビクター・ウェンバニャマは38分の出場で26得点12リバウンド2アシスト1スティール3ブロックを記録した。数字は及第点に見えるが、ターンオーバー6を記録し、コートに立っていた時間の得失点差は-3で、プレーの効率は決して良くはなかった。そして試合序盤から動きの重さが目立った。

前日の会見で「世界中の注目を集める試合になっても、結局のところアリーナに入るのは2万人で変わりはない。地に足をつけて、最も困難な仕事まだ残しているのだと自覚しなければならない」と、大舞台にも落ち着き払った様子を見せていたが、彼はまだNBAキャリア3年目の22歳だ。初めてのNBAファイナルに気合いが入りすぎて、いつも通りのパフォーマンスができなかったとしても無理はない。

そして、ニックスの徹底した対策も効いた。カール・アンソニー・タウンズは「バスケ界全体を見ても唯一無二と言っていい存在だから、できる限り彼がプレーしづらい状況を作るだけ」というウェンバニャマへの対応を最大限の集中で続けた。タウンズを中心にタフに粘り強く戦うニックスの守備にウェンバニャマは苦戦し、守備とリバウンドではまずまずの働きを見せたが、攻撃でのインパクトは十分ではなかった。結果、スパーズは終盤まで接戦を演じるも、最後に突き放されて95-105で敗れた

スパーズを率いるミッチ・ジョンソンは「ロールであれトランジションであれ、もっとリングに向かってプレーすべきだった。リングにプレッシャーを掛け、ペイント内での力強さが必要だ。相手はフィジカルに守り、囲い込むようなディフェンスを仕掛けてきたが、もっと早い段階で我々は自分たちの形を作らなければならなかった」と、ウェンバニャマ個人としてもチームとしても、ニックスにやられたことを認めた。

しかし、指揮官はウェンバニャマのプレーに不安を抱いてはいない。「彼自身が一番分かっているよ。この試合から多くを学び、第2戦にはもっと良いアプローチで臨むと信じている」

ウェンバニャマ自身も「コーチの言う通り、相手の守り方に対して回答を見つけ出さなきゃいけないところで、今日の僕はダメだった。NBAファイナルの特別な雰囲気は感じたけど、それがパフォーマンスに影響したとは思わない。言い訳は何もないよ」と語る。

そして、ホームで悔しい敗戦を喫した直後でも「悔やむことは一つもない」と言い切った。「シリーズでリードを許す経験はこれまでにもあった。何も悔やんでいないし、不安もない。ただやるべきことすべてを正しくやる。チームと話し合って問題を明確にし、お互いに責任を持つ。それ以上に複雑なことをやる必要はない。僕は考えすぎるタイプじゃないしね」

ウェンバニャマの思考法はシンプルだ。これまでに積み上げてきたことを信じ、ただベストを尽くす。だから勝っても驕らないし、負けてもパニックには陥らない。

彼は言った。「最高である必要はない。ただ普通にプレーすれば十分だと思っている。まずは映像を見直す。明日11時のチームミーティングで話し合う課題が30個は見つかると思うよ」