TJ・マッコネル

昨シーズンのプレーオフで勝つも「全く違うチーム」

現地5月21日からペイサーズはニックスとのカンファレンスファイナルを戦う。昨シーズンのセミファイナルでも両者は対戦しており、この時も上位シードはニックスで、敵地で連敗を喫したもののホームで取り戻し、マディソン・スクエア・ガーデンでの『GAME7』に勝利した。

その時の経験は生きるはずだが、ペイサーズを率いるリック・カーライルは「全く参考にならない」と断言する。「KAT(カール・アンソニー・タウンズ)(ミケル)ブリッジズという新たな武器が加わった。リバウンドの強さも維持しているから、この2人の中長距離からのシュートが大きな脅威となる。多様性という点で本当に優れたチームになった。OG・アヌノビーも昨シーズンはケガをしていたから、今回は全く違うチームと考えている」

カーライルは過去の経験に頼ろうとしない。カンファレンスファイナルを控えた取材対応でも「過去を長々と振り返ることに意味はない。今の環境にどう対応できるかが重要だ」と、今シーズンのチーム作りを振り返ろうとはせず、「プレーオフのシリーズを敵地で始める時に特に大事になるのは、自分たちが得意なことを試合で実践することだ」と語った。

そんな指揮官と同じ思いを抱いているのがベテランの司令塔、TJ・マッコネルだ。「ニックスは各ポジションに良い選手が揃っていてコーチングも素晴らしい。強敵なのは間違いないよ。だからこそ、僕らは万全の準備を整えて臨む必要がある」と彼は言う。

過去の経験から学べることは、ニューヨークの熱狂的なファンの前でどうプレーすべきかだ。「昨シーズンからいる選手は、マディソン・スクエア・ガーデンの熱狂的な環境を経験していることが助けになるだろう。あそこでは世界中を敵に回したような気分になり、追い詰められたような精神状態になる。そんな環境では自分たちを信じるしかない。いつも以上に団結して、チームプレーに徹するんだ」

「新しいプレーを試すなんてことはしない」

そしてマッコネルは、試合のカギとしてカーライルと同じことを言う。「やったことがないプレーを試しちゃいけない。チームとして行動し、自分たちの作り上げてきたプレーを今まで通りやればいいんだ」

それはつまり、攻守ともにハイペースを維持して、ニックスの選手たちを振り回して疲弊させることだ。タイリース・ハリバートンとアンドリュー・ネムハードのバックコートコンビが機能しなかった時、マッコネルはベンチから出てチームメートを落ち着かせ、ペイサーズのスタイルを取り戻させる。あるいはチームが機能して相手が疲弊した時、マッコネルはベンチから出て追い打ちをかけ、優位を確たるものとするだろう。

若手の多いチームにあって、マッコネルの経験とバスケIQは素晴らしいアクセントになっている。「僕のやる仕事に変わりはないよ」と彼は言う。「ベンチから出て、攻守両面にエネルギーを注ぐ。新しいプレーを試すなんてことはしない」

タレント力ではジェイレン・ブランソンを筆頭にニックスが上かもしれない。しかしマッコネルは、長年かけて築き上げたチームバスケとケミストリーで対抗できると考えている。「僕らの自由でスピーディーなバスケが機能するのは、全員が少しずつ自分を犠牲にして、最高のシュートチャンスを作るためにボールを動かすからだ。コーチの素晴らしい哲学があり、それを実践するために僕らはハードワークと自己犠牲を貫いている」

「ケミストリーはこういう試合でこそ役に立つ。昨シーズンが終わった後、フロントが僕らにもう一度チャンスを与えてくれたことに感謝しているんだ。そのおかげで、また夏のトレーニングキャンプで頭と身体に叩き込んだプレーを1年間繰り返すことができた。本当に難しいスタイルだけど、みんなそれが大好きなんだ」