
エース対決は『エースキラー同士の戦い』でもある
西のカンファレンスファイナルはサンダーとティンバーウルブズの顔合わせとなりました。シェイ・ギルジャス・アレクサンダーとアンソニー・エドワーズの両エースを主役とするアンストッパブルなスコアリングショーが期待されますが、それは同時にエースキラーの働きがカギになることを意味します。
サンダーのルーゲンツ・ドートは、シーズン中の直接対決でエドワーズと135回マッチアップし、奪われた得点は19のみと抑え込んでいます。打たれたシュートのほとんどは3ポイントシュートで、ドライブを許さないフィジカルなスタイルはエドワーズに効果的です。
ただし、サンダーがチームとして積極的なダブルチームを仕掛けている面もあり、エドワーズにとってはシュートに行くよりも適切にパスをさばくことが重要です。シーズンを通してダブルチームへの不満を語ってきたエドワーズが、リーグ最高のフィジカルディフェンダーであるドートにイライラしてリズムを狂わせないことは、ウルブズが勝ち抜く最低条件になります。
ウルブズのジェイデン・マクダニエルズは206cm84kgで、身長はドートよりも13cmも高く、体重は16kgも軽いディフェンダー。コンタクトプレーよりもサイズに似合わぬステップワーク、213cmのウイングスパンを生かしたシュートチェックで相手を止めるタイプです。
シェイはヘジテーションムーブでペイントに侵入してから、ステップインやフェイダウェイを活用するのがうまく、マクダニエルズにとってはフェイクに騙されてファウルをしてしまわないことが重要です。シーズン中の対戦ではシェイが4試合で48本ものフリースローを打っており、これはウルブズがフランストレーションを溜める要因にもなっています。
強力なディフェンダーを揃えるサンダーですが、エドワーズへはドートのマッチアップで対処するのに対して、ウルブズはシェイにニキール・アレキサンダー・ウォーカーもマッチアップさせてきます。同じ相手との対戦が続くプレーオフでは『プレーの読み合い』が進みますが、従兄弟である2人のマッチアップにも注目です。
シーズンの対戦ではウルブズ側に欠場者が多い中で2勝2敗と互角の成績でした。ただし、ウルブズの主力が揃った試合ではサンダーが勝利しており、どちらが優位なのか甲乙つけがたいものがあります。接戦が続けば最後はエース対決となり、それはエースキラー対決とも言えます。リーグ屈指のディフェンダーであるドートとマクダニエルズの働きが重要なシリーズです。