アーロン・ゴードン

「ケガはスポーツの一部だし、リスクは分かっていた」

アーロン・ゴードンは第6戦の終了間際に左太ももの裏を押さえて走れなくなった。「心配ない。『GAME7』には出る」と語るも、ステフィン・カリーが同じケガで戦線離脱し、ウォリアーズがそのままシーズンを終えたことを、多くの人が思い出したはずだ。

MRI検査の結果は、ハムストリングのグレード2の肉離れ。通常であれば復帰に数週間を要するケガだが、ゴードンは中2日の休養を経て先発出場した。

ゴードンは言う。「温めて、冷やして、医師の診察を受けて、高圧酸素カプセルに入ってと、できることはすべてやった。欠場は全く考えなかった。唯一迷いが生まれたのはMRI検査の結果が想定よりも悪かった時だ。ケガはスポーツの一部だし、リスクは分かっていたけど、それでもチームのためにプレーしたかった」

しかし、肉離れは気合いでは何ともならない。先発出場するも足を引きずっており、リムへと突進する爆発的は見られないままだった。レギュラーシーズンに平凡なチームと戦うのであれば、それでも何とかなったかもしれないが、これはカンファレンスファイナル進出を懸けた『GAME7』であり、相手はリーグ最高勝率のサンダーだった。

「それほど痛みを感じていたわけじゃないけど、走れなかった。スプリントしたら悪化していただろう。大ベテランみたいなプレースタイルで我慢しながら、持てる力はすべて出し切ったつもりだ」

そのゴードンは第3クォーター途中まで25分出場して、8得点11リバウンドと奮闘したが、彼がコートを降りた時点で21点ビハインド。その後もサンダー優位の展開が変わることはなく、彼は仲間とともに『GAME7』での敗北を見届けた

「多くの選手が苦しんでいるのは過密日程のせいだ」

優勝できなかった29チームにとって、シーズンの最後は不本意なものになる。ケガで本来の力を発揮できないままの終わり方であればなおさらだ。

「プレーオフは健康の勝負になっている」とゴードンは警告を発した。「1日おきに試合が組まれて、7試合を戦うことなくさっさとケリを付ければ休めるのは理解できるよ。でも、今回のように移動の際に中2日を挟むスケジュールを組めば、選手のパフォーマンスはずっと良くなり、試合の質は上がり、大差で決着する試合も減るだろう」

「ステフのケガを見て、みんな何を感じた?」とゴードンは続ける。「ジェイソン・テイタムが早く良くなることを願うよ。彼らはデイム(デイミアン・リラード)に続いた。多くの選手がケガに苦しんでいるけど、それは過密日程のせいだ。プレーオフの期間中にも休養日を挟めば、フレッシュな状態で競争できる。今は最も強いチームではなく、最も健康なチームが勝つようになっている」

ナゲッツはレギュラーシーズン終盤にヘッドコーチ交代とGMの事実上の更迭という『政変』に揺れながらも、サンダー相手に『GAME7』まで持ち込む健闘を見せた。そしてゴードンは29歳という全盛期で迎えたプレーオフで2度のゲームウィナーを決めるなど、個人としては最高のパフォーマンスを見せた。

「まだ終わったばかりだから、シーズン全体を振り返るのはもう少しいろいろ消化してからになるね」とゴードンは語る。

このタイミングでシーズンを終えるつもりではなかった。「この試合に勝って、次のシリーズでは最初の何試合かを休んで、それで復帰するつもりだった」