JJ・レディック

「今シーズンの勝利も敗戦も、すべてが有益だった」

レイカーズはティンバーウルブズとのファーストラウンドで1勝しか挙げられず敗退した。誰にとっても落胆する結果だが、シーズンの最後に会見を行ったヘッドコーチのJJ・レディックは、パニックに陥ることなく敗北を受け入れ、この先に明るい未来があると信じて前に進む意思を示した。

プレーオフでのレディックが冷静だったとは言い難い。後半に選手交代を行わずにスタミナ切れで敗れ、その起用法について質問されると怒って会見を切り上げたこともあった。プレッシャーが増すプレーオフになってティンバーウルブズにロスターの欠陥を突かれた場面で、レディックのヘッドコーチとしての経験不足は浮き彫りとなった。

それでも、戦いを終えたレディックは彼らしい落ち着きを取り戻し、淡々とシーズンを振り返る。「レイカーズは他のチームとは違う。自分が何にサインしたかは理解している。多くの批判が私に向けられていることは分かっているし、その責任は受け入れる。分かってほしいのは、私を最も厳しく批判するのは私自身だということだ。受け入れるのは簡単ではないが、我々はより優れたチームに負けた。勝てるチャンスもあったが、第4クォーターで上手くやれなかった」

「NBAの歴史を振り返ると、オールスター選手がシーズン中にトレードされて優勝したケースは片手で数えられるぐらいしかない。チーム作りには時間が必要だ。だからこのオフを最大限に活用したい。正直なところ、シーズン中にはチーム練習がほとんどできない。あの3人にはそれが必要だ」

3人とはもちろん、レブロン・ジェームズとルカ・ドンチッチ、オースティン・リーブスだ。会見に同席したロブ・ペリンカGMは「人間性と競争心を兼ね備えた選手が3人もいる。この3人を中心にトレーニングキャンプからチームを作ることが素晴らしい出発点になる」と補足する。

「3人に対する我々の評価は変わっていない。彼らは依然としてトップレベルにある」というペリンカGMの言葉は、レディックと3人のコアで新シーズンに臨むという意思表示であり、会見に詰めかけた多くの報道陣が唯一知りたいことだった。

意識を切り替え「このオフシーズンに最高の準備を」

レディックはコーチとしてのデビューシーズンの収穫をこう振り返る。「私がコーチとして重視するのは2つ。チームの才能を最大限に生かすことと、全員が仕事を楽しむことだ。選手ともコーチングスタッフとも話したが、みんな今シーズンが素晴らしい経験だと感じている。私たちの価値観、仕事への姿勢、信頼といったものをみんなが受け入れてくれた」

これだけの戦力を擁する名門がファーストラウンド敗退という結果に満足していいはずはない。それでもレディックは「私はすべてを成長の機会ととらえている」と前を向く。「以前、ヤニス・アデトクンボが会見で成功と失敗について話したのを覚えている。私は自分の道のりを長く曲がりくねった川だと考えている。先は見通せないし、途中で何があるか分からない。だから、失敗を受け入れる覚悟が必要になる。成功ももちろん大事で、その両方から学んで成長していくんだ。今シーズンの勝利も敗戦も、すべてが有益だった」

「こんなに早くオフを迎えるつもりではなかった」と言うレディックは、スタッフと連携しながらオフシーズンのプログラムを急ピッチで作っていることを明かす。「選手それぞれのルーティーンを尊重しつつ、最善の形でトレーニングキャンプを始めるためのメニューを用意する。このオフシーズンに最高の準備をして、来シーズンを良い位置からスタートしたい」