
ゴベアとランドル、過小評価されたベテラン2人が奮闘
レイカーズは輝かしい歴史を持つ名門で、レブロン・ジェームズとルカ・ドンチッチという最強のデュオを擁したことで、優勝候補に相応しい華やかさがあった。一方でティンバーウルブズは『チームの顔』であるカール・アンソニー・タウンズの放出で戦力ダウンとなり、昨シーズンのカンファレンスファイナル進出は過去のものとされていた。
しかし、プレーオフで勝つのは華やかなチームではなく、抜け目なくタフに戦うチームだ。接った展開になれば終盤で粘り強さを見せ、優位に立った試合では付け入る隙を与えない。ウルブズはレイカーズを攻守に圧倒し、4勝1敗と予想を覆した。
シリーズに決着をつけた第5戦では、ルディ・ゴベアが27得点24リバウンド2ブロックと大活躍。若いセンターのジャクソン・ヘイズが大舞台での経験不足を露呈したことでスモールラインナップを使い続けたレイカーズに対し、ウルブズはゴベアの高さと強さの優位を最大限に活用した。
「リバウンドが僕の方に落ちてきてくれるようになった。攻撃ではみんなが僕を信じてパスをくれた。シリーズが進むにつれて、相手は僕を止められなくなっていると感じていたよ。リバウンドが僕とは逆の方向に跳ねるケースが続いていたけど、いずれこちらに流れが来るし、その時に良いプレーをするんだと自分に言い聞かせていた」
レイカーズはシリーズ当初はレブロンやドンチッチのアイソレーションでゴベアを狙ったが、試合が進むにつれてその頻度は減った。「世界最高の選手をマークする瞬間は楽しいものだよ。ディフェンスは得意だしね」とゴベアは笑う。
レイカーズ優位を予想していた多くの人たちは、レイカーズのセンターが問題になるとは思っていなかった。ヘイズは短い時間でエネルギッシュに戦えば十分で、レブロンと八村塁、ジャレッド・バンダービルドを使うスモールラインナップは、むしろゴベアとジュリアス・ランドルのフロントコートを圧倒すると予想していた。
ゴベアは外に引き出されればスピードが足りずに3ポイントシュートに寄せきれず、中で仕掛けられても愚直なディフェンスでファウルを犯し、フリースローを献上するものだと思われていた。しかし、ゴベアは力強く、そして賢く守り、リバウンドで恐るべき強みを発揮し、第5戦ではフィールドゴール15本中12本成功と、103-96のロースコアの展開で非常に価値のある27得点を挙げた。「チームメートが信頼してくれるから、僕は自分らしくプレーするだけだ」とゴベアは言う。
「困難を乗り越え、特別なことを成し遂げる力を得た」
タウンズ放出による戦力ダウンの象徴と見られていたランドルも、過小評価を覆した。レブロンのポストアップに粘り強く抵抗し、オフェンスが手詰まりになった時にボールを託されるとしぶとくシュートを決めて23得点を挙げた。エースのアンソニー・エドワーズが3ポイントシュート11本を放って1本も決められず15得点と不発、成長著しいジェイデン・マクダニエルズも早々にファウルアウトして18分しかプレーできなかった試合を勝利に持っていったのは、過小評価されていたゴベアとランドルのベテラン2人だった。
「このチームには過小評価されてきた選手が多い。ジュリアスもマイク・コンリーも、キャリアを通じて正しい評価を受けていない」とゴベアは語る。「これから評価を勝ち取る若い選手もいる。今シーズンは厳しいスタートを切り、成長痛も経験した。でも僕らは粘り強く戦い、すべての困難を乗り越え、特別なことを成し遂げる力を得た。今見せている戦いぶりがそれを示していると思う」
「シーズン序盤に逆境を経験したけど、すべてはプレーオフのための準備だったんだ。まだ向上の余地は多いけど、仲間たちのひたむきな努力が報われるのを目にすると気分が良いよ。ただ、この先も勝たなきゃいけない。良いプレーをするのは大事だけど、僕らは勝たなきゃいけない」
ウルブズを率いるクリス・フィンチは、ゴベアへの評価をこう語った。「彼の性格やプレースタイル、見た目など、気に食わない部分があるのだろう。しかし、彼を見ているとプロフェッショナルとは何かを理解できる。彼はただ闘争心旺盛なんだ。他人の評価を気にしない。我々も他人の評価には耳を貸さないよ」