「もう2年も悪役をやっているようなものだから」
一つの勝利がチームが抱える問題を解決に導くことがある。グリズリーズにとって現地4月3日のヒート戦は、そうした試合になるのかもしれない。
テイラー・ジェンキンス解任は今なお不可解な判断であり、その下でずっとプレーしてきたジャ・モラントやデズモンド・ベイン、ジャレン・ジャクソンJr.がストレスを抱えているのは間違いない。指揮官交代を挟んで1勝7敗と負けがかさみ、順位を落としてもいた。
それでもプレーイン圏内で決して負けられないヒートが攻守に激しさを見せたのに対し、グリズリーズは一歩も引かずに渡り合った。第4クォーター残り14秒でタイラー・ヒーローに同点フローターを決められた後、タイムアウトを取ったグリズリーズが勝負のポゼッションを託したのはモラントで、それは指揮を執るのがジェンキンスでもトゥオマス・イーザロでも変わらなかった。
モラントが自陣から慎重にボールを運ぶ間に、サンティ・アルダマがスクリーンをかけることでマークに付く選手をディフェンス自慢のデイビオン・ミッチェルからルーキーのケレル・ウェアへとスイッチさせる。あとはモラントに託された。
モラントはクロスオーバーを交えながらリムへと迫ると見せかけて、ウェアを下がらせてステップバックしてのジャンプシュートを選択。難易度の高いシュートではあったが、試合終了のブザーとともにボールはリムに当たりながらもネットを揺らし、グリズリーズの110-108での勝利が決まった。
チームは連敗を脱してようやく一息ついた雰囲気だったが、ゲームウィナーを決めたモラントは大喜びで「良い気分だ。久々の勝利はうれしいよ」と語る。
試合を通してマイアミの観客からは激しいブーイングを浴びせられたモラントについて、ジャクソンJr.は「ジャはブーイングされると燃えるんだ。僕ならブーイングはしないね」と笑った。
リーグの警告を無視した『銃を撃つ真似』で罰金
マイアミのファンがブーイングを浴びせた理由は、モラントが相手チームのエースであることだけでなく、彼の素行にもあった。2日前のウォリアーズ戦でモラントと対戦相手のバディ・ヒールドは試合中に銃を撃つ真似をして、2人ともテクニカルファウルを受けており、リーグからの調査が入っていた。銃にまつわる事件が頻発するアメリカでは、こうしたゼスチャーは笑いごとでは済まされない。
しかもモラントには銃にまつわるトラブルで長期出場停止となった『前科』がある。それにもかかわらず、このヒート戦でも3ポイントシュートを決めた後を含めて複数のシーンで銃を撃つゼスチャーをして、マイアミのファンからブーイングを浴びた。
モラントは気にする素振りを見せず「分かっているよ」と語り、ブーイングについては「もう慣れた。誰かが僕のことを悪く言えば、その話はすぐに広まる。だけど僕は気にしていない。もう2年も悪役をやっているようなものだから」と答えた。
良くも悪くも『モラントらしさ』は健在だ。他チームのファンは彼にお行儀の良さを押し付けようとしてブーイングを送るだろうが、グリズリーズにとってはやはりどこまでも頼れるエースであり、一つ勝ったことでチームの混乱は収拾の方向に向かいそうだ。
とはいえ、銃にまつわるトラブルの再発は絶対に避けなければいけない。この翌日、リーグは7万5000ドル(約1100万円)の罰金をモラントに科すことを発表した。