
レイアップを落とし、逆転のフリースローを献上
ラッセル・ウェストブルックは現地4月1日のティンバーウルブズ戦で、悪い意味で大きなインパクトを残した。139-138と1点リードで迎えたダブルオーバータイムの残り13秒、相手のインバウンズのミスを突いてスティールに成功してコートを駆け上がり、クリスチャン・ブラウンとパスを交換しながらトップスピードでレイアップを放った。残り時間と点差を考えれば、これが混戦に終止符を打つ得点になるはずだったが、このレイアップを落としてしまう。
今度はウルブズの速攻、右コーナーで3ポイントシュートを放つニキール・アレクサンダー・ウォーカーにウェストブルックが飛び込む。決まれば逆転ブザービーターとなるシュートにプレッシャーを掛けるのは当然だが、そこで決してやってはならないシューティングファウルをあっさりと犯してしまった。結局、このフリースローでナゲッツは逆転負けを喫している。
ヨキッチが61得点のトリプル・ダブルを達成しながら敗れたショックは大きい。58分間の激闘の最後に決定的なミスを犯したウェストブルックのプレーはあまりにも不可解だった。
しかし、ナゲッツの仲間たちは彼を擁護した。ヨキッチは「これがバスケットボールだ。こういうこともある」と語り、指揮官マイケル・マローンは「ラッセルは自分の責任だと感じるだろうが、負けたのは彼ではなくチームだ。誰か一人のせいで負けたわけではない」と言い切った。
その翌日のスパーズ戦で、マローンは主力を軒並み休ませたが、ウェストブルックだけは先発で起用して40分間プレーさせている。ダブルオーバータイムの激闘を落とした後、ヨキッチを始めとする主力には心身ともにリフレッシュする必要があった。だがウェストブルックを休ませたら、ミスのことをずっと考えるだろう。彼が気持ちを切り替えるには試合に出ることが最善だった。戦力不足のナゲッツは106-113でスパーズに敗れたが、ウェストブルックは30得点11リバウンド6アシスト3スティールと攻守にハッスルを見せた。
「出場機会の少ない若手を精神的に引っ張ってくれた」
マローンは「昨日の敗戦があったからラス(ウェストブルック)を出場させたわけではない」と言う。「彼が『プレーする』と言ったんだ。彼はキャリア17年目の選手だが、ただの17年じゃない。フル回転し続けてきた17年だ。彼は挑戦を好み、その機会を逃さない。今日はプレーしない選手が多く、彼もそうするのは簡単だった。でもそれはウェストブルックのDNAとは違ったんだ。いつものように全力で、出場機会の少ない若手を精神的に引っ張ってくれた。試合が終わると真っ先に、そのことの感謝を伝えたよ」
ウルブズ戦でのウェストブルックの失敗は見過ごすにはあまりにも大きなもので、これがプレーオフで起きたらと思うとゾッとする。しかし、ナゲッツにはサラリーキャップに余裕がなく、一昨年オフにはブルース・ブラウンを、昨年オフにはケンテイビアス・コールドウェル・ポープを放出して戦力を落とし、しかもジャマール・マレーにケガが多く、ヨキッチの負担が際限なく増えていく状況にあり、今シーズン前半戦のチーム状況は決して良いものではなかった。そんなチームの根本的な問題を、年俸330万ドル(約5億円)のウェストブルックが解消したことを誰もが理解している。
ウェストブルックは36歳になり、アグレッシブなディフェンスや勢いのあるボールプッシュ、トランジションのキレは健在でも、もともと決して得意ではないシュートの弱点がより目立つようになった。以前なら強引にねじ込んでいたであろうゴール下のシュートを決める力がなくなり、フリースロー成功率64.2%はキャリア最低、全盛期より20ポイントも下落している。
それでも、サンダー時代に5年2億ドル(約300億円)の契約を結んだ7年前と同じラスでいられるはずがない。MVPからオールスター、エース、スタメン、シックスマンへと役割を変えながらも、ウェストブルックは『フル回転』を続けている。
マローンは彼がこのまま彼らしくプレーすることを望みつつ、起用法に適切なアジャストを加えてプレーオフに臨むはずだ。クラッチタイムに彼がボールを持つ機会が減る、あるいはその時間帯にはベンチに座るのかもしれない。それでも、彼がナゲッツにおいて不可欠な戦力であることに変わりはない。