ジャ・モラント

この1年間はトラブル続き、「イメージを変えていく」の約束は果たせず

グリズリーズのジャ・モラントが、再びトラブルを起こした。現地5月13日、友人であるダボンテ・パックのSNSによるライブ配信の中で、2人は自動車を運転しながらご機嫌でラップの曲に合わせて歌っていた。

プレーオフのファーストラウンドでレイカーズ相手に敗退してから半月が過ぎ、オフに友人とドライブを楽しむのは別に悪いことではない。しかしハンドルを握るモラントが、もう一方の手で拳銃を持ち出したとなれば話は別だ。助手席にいたパックはそれに気付いた瞬間にライブ配信のカメラを伏せたが、時すでに遅し。一瞬であっても拳銃を持つモラントの映像はSNSであっという間に拡散された。

モラントはレギュラーシーズン中の2月、デンバーへ遠征した際にナイトクラブに繰り出し、酔って拳銃を持っている様子を自らのSNSで配信して、リーグから8試合の出場停止処分を受けた。

この時、彼は一時期チームを離れた。大きなプレッシャーを背負う精神的負担に耐えられずカウンセラーに助けを求めたことを明かし、「2週間いたけど、完全に治ったとは言えない。まだ継続していかなければない」と語っている。

戦線復帰の際には、彼が不在の間に調子を落とさず奮闘したチームのケミストリーを壊したくないと自らベンチスタートを志願。チームにもファンにも温かく迎え入れられ、「セカンドチャンスを与えてもらった」と感謝するとともに、「言葉ではなく行動で示したい。自分自身の間違いによって大好きなバスケから9試合も遠ざかることになったのは、本当に傷付いたからね。僕は賢くなり、責任感を持って、悪い決断をしないようにする」と汚名返上を誓っていた。

モラントにはこの1年、トラブルが相次いでいる。昨年オフにはメンフィスのショッピングモールで母親が口論を起こし、現場に乗り込んだモラントが警備担当者を脅したとして警察を呼ばれる騒ぎとなった。その数日後にはピックアップゲームで一緒になった17歳の少年を殴り、銃を出して脅したとして訴えられている。また1月のペイサーズ戦ではメンフィスまでやって来たペイサーズファンのグループが、「モラントの乗る自動車からレーザーを照射された」と告発している。彼らはこれが銃に取り付けるレーザーサイトの光だと考え、撃たれる恐怖を感じたと訴え、NBAが調査するに至った。この試合ではモラントの父親とダボンテ・パックがペイサーズファンを煽って口論となり、パックはフェデックス・フォーラムに1年間の出入り禁止となっている。

そのすべてでモラントに非があるわけではないのかもしれないが、それらすべては普通のNBAプレーヤーならばキャリアを通して縁のないものだ。それだけのトラブルが重なった上で出場停止処分を受け、名誉挽回を誓って再スタートを切っていたが、「今後は僕の本当の姿をみんなに見せて、イメージを変えていくつもりだ」という言葉から逆行するような今回のトラブルは残念だ。

グリズリーズは即座に、モラントをすべてのチーム活動から外すことを発表した。またNBAも「モラントに関連するSNSの投稿は確認しており、情報を集めている」と発表している。