「賢くプレーすることだけを考えた」
現地3月24日のネッツ戦で、マーベリックスのアンソニー・デイビスが戦線復帰を果たした。デイビスはケガを抱えた状態でルカ・ドンチッチとのトレードでマブスに加入したが、エースの退団に動揺するチームを落ち着かせようと現地2月8日のロケッツ戦に強行出場し、26得点16リバウンド7アシストと大活躍したものの、その試合終盤に負傷した。
その後の1カ月半でチーム状況は悪化の一途をたどった。ロケッツ戦の時点で28勝25敗だった成績は、そこから6勝12敗と落ち込み、現在は西カンファレンス11位でプレーイン・トーナメント圏外だ。その間にはドンチッチが抜けた得点力を埋めるべくフル回転していたカイリー・アービングが左膝前十字靭帯断裂の大ケガを負い、もはやプレーオフどころではなくなってしまった。
それでもデイビスは戻って来た。カイリー以外にもケガ人続出の状況で、プレータイム制限があっても頼れるビッグマンの復帰は大きい。ネッツ相手に第1クォーターを32-17と圧倒し、危なげのない勝利を収めた。
デイビスは27分の出場で12得点6リバウンド3アシスト。1カ月半前のように無理はしなかったが、それでも存在感は際立っていた。
「フィジカル的にはもうかなり良い感じなんだ」とデイビスは語る。「ただメンタル面は、復帰したばかりで試合でどこまでやれるか。精神面でも準備はできているつもりだったけど、試合が始まると相手の動きが予想できない。試合勘を失うというのは、そういうことだ。でも、最初の1分でリズムをつかむことができたよ。そこからは賢くプレーすることだけを考えた」
プレータイムの制限はあるし、何より100%のインテンシティはまだ出せていない。それが彼の言う「賢くプレーする」だが、デイビスはそこにストレスを感じるのではなく、復帰を素直に喜んだ。
「上手くやらなきゃいけない。いろいろと制限はあるけど、そこをコントロールして自分の身を守りながらプレーする。そうは言っても、コートに出てバスケができるのは素晴らしい気分だよ」
「僕がコートに立つことで他のみんなが一息つける」
この1カ月半、チームは苦境に立たされながらも戦い続けた。その姿に刺激を受けていたデイビスは、プレーオフ進出が難しい状況でも残りの試合を欠場することは考えなかった。「戻って来るに決まっている。この選手たちと一緒にコートに立って戦いたい、そればかり考えていた。だから予定通りに復帰した。今はまだ100%じゃないけど、僕がコートに立つことで他のみんなが一息つける。自分にできることをしたいだけなんだ」
チームはいまだ満身創痍だが、9位キングス、10位サンズとは0.5ゲーム差で、ここから巻き返してプレーイン・トーナメントを突破すればプレーオフに行ける。ただし、デイビスは現時点ではプレーオフ行きを狙うとは言わなかった。
「まだ僕たちはレースに参加している状況だ。レギュラーシーズンの最後まで突き進んで何が起きるかを見てみよう。戦い続ければ、何が起きるかは分からない。チームとしてまとまり、最後まで戦うんだ。それに、まずは健康を取り戻さないとね。プレーオフに進んだところで、コンディションが整っていなければ勝つのは難しい」
「僕もまだ100%じゃない。でも、残っている試合ではプレーするし、全員で力を合わせて進んでいくつもりだ。ひとまず今日は良い感じでプレーできた。正直に言うけど、無理はしたくない。目の前の試合に集中して一つずつこなし、勝っていきたい。そうするうちに状況がどんどん良くなっていくことを願うよ」