
「息子にひどい仕打ちをしているのはレブロンなんだ」
現地3月8日に行われたレイカーズvsセルティックスの試合途中、レブロン・ジェームズは『ESPN』のキャスターを務めるスティーブン・A・スミスに詰め寄り、何事かを話した。レブロンの剣幕、圧倒されて言い返せないスミスの様子から、友好的な会話でなかったのは明らかだ。
スティーブン・A・スミスはNBAの解説者ではなく、ファンを代表して批判や疑問を投げかけて論争を煽るタイプの司会者で、選手から反感を持たれることも多いだろうが、今回のように公の場であれほど激しい反応を見せる者はいなかった。
批判や憶測に晒されることも『NBAのビジネス』の一部だと理解していながらレブロンが怒った理由は、スミスが自分やレイカーズのパフォーマンスについてではなく、ブロニー・ジェームズを執拗に批判していたからだ。
デビューからこれまで、スミスは何度かブロニーが『レブロンの息子』だから特別扱いされると手厳しく批判してきた。その彼がコートサイドにいるのを見かけて、レブロンは冷静ではいられなかった。
ただ、これは悪手だったと言わざるを得ない。テレビカメラの前でレブロンに詰め寄られ、その映像がSNSで拡散されることは、露悪的なエンタメを生業とするスミスにとっては最高に『美味しい』出来事だ。彼はすぐさま自身が出演する『First Take』で、「レブロンは私に『僕は父親として君に頼んでいるんだ』と言ってきた」と、その会話を明かした。
2巡目55位でレイカーズに指名されたブロニーは、開幕ロスターに入ったものの結果を残せていない。指揮官JJ・レディックは常にブロニーのバスケに取り組む姿勢を称えているが、プレーオフに向けて突き進む今のレイカーズにブロニーの居場所はないのが現実だ。
2月以降のブロニーはレイカーズで4試合、合計20分しかプレーしていない。Gリーグを主戦場とするようになって、スミスがブロニーを批判することもなくなっていたのだが、今回のレブロンの行動はスミスを勇躍させる結果となった。
「レブロンは私に怒っているが、私はブロニーのためを思って発言している」とスミスは語る。「ブロニーがNBAにいるのは父親のおかげだと誰もが知っている。NBAで活躍するには実力不足なのを親のエゴでNBAへと引き上げるのは、ブロニーにとって不幸だし、それに見合った実力を持ってチャンスを得ようと必死に頑張っている誰かを不幸にしている。息子にひどい仕打ちをしているのはレブロンなんだ」
そしてスミスは、実際にはそう思っていないであろう内容を真面目な表情で話し続けた。「Gリーグでのブロニーの活躍は素晴らしい。スキルを磨き、成長し、正当なやり方で出場機会を獲得している。その姿は誰もが応援したくなるものだ。私も応援しているよ。彼には大きな成功を収めてほしい」
「あの場で私が反論しなかったのは、父親として息子を深く思いやるレブロンの気持ちを感じたからだ。しかし、反論することもできた。『私は君の息子の悪口を言ったことは一度もない。批判しているのは君のやり方だ。これは君が作り出した状況だぞ』とね」
LeBron pressed Stephen A. Smith last night 😳
— NBACentral (@TheDunkCentral) March 7, 2025
(🎥 @TheFlightMike) pic.twitter.com/TFvQhGDa2z