アーロン・ネスミス

3ポイントシュート3連続成功にも謙虚「感謝している」

アーロン・ネスミスは屈強なフィジカルと高いスキルを備えたオールラウンダーで、攻守におけるそのダイナミックな動きは、ペイサーズのハイテンポな攻撃バスケに欠かせないものとなっている。

相手のエースをマークし、リバウンドやルーズボール争いなど泥臭い仕事に回ることが多いのがオールラウンダーの宿命で、その貢献は誰もが認めていても、彼が主役になることは多くはない。それでも現地3月2日のブルズ戦ではフィールドゴール16本中9本成功、3ポイントシュートは11本中6本成功と、キャリアハイの27得点を記録してスポットライトを浴びた。

今シーズンは開幕から1週間で足首を痛めて2カ月以上の戦線離脱を強いられ、1月中旬に復帰した後もプレータイムの制限があったが、ここに来てようやく本調子が出てきた。「オールスターブレイクでまとまった休養が取れて、試合勘を失うことなく足首を休ませることができた。今は自分らしくコートに立ち、走り、戦うことができている。調子の良さを自分でも感じているし、シュートタッチも良い」とネスミスは言う。

そうやって少しずつ調子を上げてきた結果が27得点という大活躍だったが、ネスミスは「試合の流れがそうなっただけ。仲間たちが流れを作ってくれた」と謙虚に語る。

「大事なのは試合の流れを読むことだ。試合の流れが僕にシュートを多く打つよう求めるのであれば、僕は自然とそうする」

彼がそう語ったのは、第3クォーター途中の3本連続の3ポイントシュート成功だ。81-78と1ポゼッション差だった試合を、たった1分間で90-79と2桁リードに変えた。パスカル・シアカムが、タイリース・ハリバートンが、マイルズ・ターナーが、ワイドオープンになったネスミスを見つけ、スムーズにパスを送り、ネスミスも迷わずシュートを放った。

まさにこれがネスミスの言う『試合の流れを読む』だ。ハリバートンはこうコメントしている。「後半のブルズのディフェンスは僕にダブルチームを、パスカルにパスが渡ればパスカルにダブルチームを仕掛けた。そこで僕らはダブルチームに対して無理に仕掛けず、空いている場所をしっかり見てパスを出した。そうやって僕らが生み出すリズムに乗ったアーロンがシュートを決めまくる姿は、見ていて最高だったよ」

そのネスミスは、盛り上げてくれるチームメートへの感謝を忘れず「僕らのベンチは沸き立っていたね」と語る。3本目の3ポイントシュートを決める時には、どんなシュートでも決まるという期待感がアリーナに満ちていたが、最初の2本とは違って軽やかなサイドステップでディフェンスをかわして決めている。ベンチもスタンドも大盛り上がりだった。

「ウチのバスケは見ていて楽しいと思うんだ。中でもベンチにいる選手が一番楽しんでいる。良いプレーやハッスルが出るたびに僕らはみんな大騒ぎだ。そんな様子を見ていると僕のエネルギーはより高まる。本当に感謝しているし、みんなが大好きだよ」

ペイサーズはスピーディーで多彩なオフェンスに強みがある一方で、ディフェンスには課題を抱えている。それでもネスミスが良いコンディションでプレーすることで、安定感はかなり増す。シーズン前半は苦しんだが、それでも今の34勝25敗という成績は昨シーズンとほぼ同じペース。昨シーズンはカンファレンスファイナルまで勝ち上がったが、目指すはその先だ。