東アジアスーパーリーグ(EASL)の2024-25シーズンには、Bリーグから昨シーズンのファイナル進出チーム、琉球ゴールデンキングスと広島ドラゴンフライズが出場する。いずれも10月16日に初戦を迎え、琉球はメラルコ・ボルツ(フィリピン)と、広島は香港イースタン(香港)とホームで対戦する。

「アウェーでのタフな戦いこそが自分たちを強くする」

琉球は昨シーズンのEASLだけでなく、大会の前身とも呼ぶべき「The Super8」や「The Terrific12」を含めて、過去7シーズンで東アジアの大会に5度出場しており、2018-19シーズンの「The Terrific12」では優勝を果たした。それだけ馴染みのある大会へのモチベーションは高く、桶谷大ヘッドコーチは「前回は予選で終わってしまったので、今シーズンはEASLでも結果を残せるよう準備をしていきたい」と強い意気込みを持っている。

その準備について桶谷ヘッドコーチはこう語る。「レギュレーションが変わる部分、Bリーグでは3人登録できる外国籍選手がEASLでは2人になるので、得点力など役割の大きさが日本人選手にかかってきます。その戦い方をイタリアに行って練習できたので、アウェーでの戦い、オン2での戦いは準備ができています」

その準備は大変であると同時に、桶谷ヘッドコーチにとっては楽しいプロセスでもある。「同じ選手、同じチームでやってるとスカウティングも同じになってしまいます。新しい選手、新しいチームと戦うのは難しい部分もありますが、新しい発見もあるし、良いモチベーションになります。そういうアウェーでのタフな戦いこそが自分たちを強くしてくれます。それこそ前回のチャンピオンシップのセミファイナルでアルバルク東京と対戦した時のアウェーゲームだったりを勝ちきる力、メンタル的なタフネスがESALでついたと思っています」

キャプテンの小野寺祥太も思いは同じで、「選手としてはキツいよりも他国の選手のフィジカルやスキルはちょっと違うので、その部分を楽しみながらしっかり戦っていきたいと思います」と抱負を語る。

小野寺祥太「今度はEASLで一緒に優勝したい」

EASLに懸ける思いは、桶谷ヘッドコーチによれば「昨シーズンにグループリーグで敗退した悔しさが今のモチベーションに繋がっていて、昨シーズンよりEASLに対しての思いは強いです」とのこと。

桶谷ヘッドコーチは「日本のバスケをメジャーにしたい」との思いで今の仕事を選んでいるだけに、日本のクラブを代表して国際大会に出ることに大きな意義を感じている。「今まさにバスケが話題になり、世界が注目するリーグになって、次は日本のバスケが世界を倒すフェイズだと思っています。世界がこれまで知らなかった日本のバスケを知る、自分がそこで働けていることを誇りに思います」

小野寺もそれは同じ。bjリーグ時代の岩手ビッグブルズでプロキャリアを始めた時のヘッドコーチが桶谷であり、それぞれ別の場所で実績を積んで今また琉球で一緒に戦っている。「桶さん(桶谷)と練習生で出会った頃は僕がキャプテンになるなんて本当に思わなかったです。ここで桶さんと一緒に戦えるのが本当にうれしく思いますし、今度はEASLでも一緒に優勝したいと思います」と小野寺は言う。

岸本隆一「他国と対戦することで視野も広がります」

琉球一筋でキャリアを全うする岸本隆一も、何度も経験してきたこの大会への思いは強い。「チームとして3年連続の出場で、まずはこの大会に出場できることをすごくうれしく思っています。ただ、過去2つの大会ではタイトルを取れておらず、また昨シーズンは千葉ジェッツが優勝するのを目の当たりにしましたし、今シーズンはチーム一丸となってEASLのタイトルも狙えるように戦っていきたいと思います」

初戦で対戦するフィリピンのメラルコ・ボルツには、昨シーズンまで琉球でプレーしていたアレン・ダーラムが移籍している。「僕がマッチアップする時間はほとんどないと思うんですけど」と岸本は笑いながらも、「彼と今度は対戦相手として向き合う時間というのを楽しみながら戦えたら」と楽しみにしている。

アジアの大会での経験が豊富な岸本によれば、「国によってのスタイルの違いを実際に対戦してみるとすごく感じます」とのこと。「台湾のチームはNBA寄りというか、しっかり役割が決まったバスケ、韓国のチームは堅守から3ポイントシュートを多く打ってきます。そこはやってみないと感じられないことで、自分の特性を国をまたいでフィットさせるのはすごく良い機会になります。単純に他国と対戦することで視野も広がりますし、個人的にはすごく楽しみな大会です」