ラッセル・ウェストブルック

ナゲッツでの第一声は「ただ全力でプレーして戦う」

ラッセル・ウェストブルックは2024-25シーズンをナゲッツで迎える。2019年にサンダーを離れてから5年間で5チーム目。チームを転々として35歳を迎えた彼は、かつての『ミスター・トリプル・ダブル』ではない。それでも彼のバスケに対するアプローチは変わらない。シーズン最初の会見で発した第一声は「ただ全力でプレーして戦う」だった。

「自分らしい長所を発揮してチームに貢献したい。僕は得点だけでなく、ペースを上げたり相手にプレッシャーを与えられる。ペイントエリアに入り込んで、他の人のためにプレーすることができる」とウェストブルックは言う。

レイカーズで控えを受け入れてから彼はスタメンではなくなっており、ナゲッツでも先発ポイントガードはジャマール・マレーで、その2番手を務めると予想される。先発ではないにせよ、昨年オフのブルース・ブラウン退団から適任者がいなかったセカンドユニットの得点源は、ナゲッツの重要な補強ポイントだ。

ウェストブルックは言う。「僕の仕事は、ジャマールが最高のプレーをできるよう後押しすることだ。彼は信じられないレベルの選手だけど、まだ向上の余地がある。僕はそのサポートができると思うし、その逆も起こる。他の選手から学んで自分を向上させるのが、長く活躍し続ける秘訣だ。その機会が得られて良かったよ」

そして、ニコラ・ヨキッチと一緒にプレーする時間帯は『新旧ミスター・トリプル・ダブル』がコートに並び立つことになり、そこで生まれる新たなケミストリーを楽しみにしてもいる。「一緒にプレーできるのは光栄だし、感謝したい。彼は本当に多くのプレーを生み出す。そして他の選手を活躍させる。対戦相手じゃなくチームメートなのはうれしいよ」

キャリア通算トリプル・ダブルはウェストブルックが199回、ヨキッチが130回。ヨキッチが過去2シーズンで54回記録し、ウェストブルックは直近の2シーズンで2回しか記録していないことを考えると、いずれ彼の記録はヨキッチに抜かれると予想される。それでもウェストブルックは「ヨキッチとその話題にはなっていない」と話す。「僕らが気にするのは最高レベルのプレーができているか、そして試合に勝つかどうかだからね」

NBAではトップレベルから一段落ちたベテラン選手が優勝を勝ち取るために低い年俸を受け入れ、強いチームに加わるケースが多い。ウェストブルックもその道を選んだが、「誰もがみな優勝したいと言うけど、別に生死にかかわるような問題じゃない。僕はバスケの試合が大好きで、それを楽しみたい。優勝するのは本当に難しく、多くのことが思い通りに進んで初めて可能性が出てくる。チームとして全力を尽くせば、結果には納得できるものだ。それが優勝ならありがたいし、そうじゃなくても機会を得られたことに感謝するつもりだ」

35歳になったウェストブルックはかつてのような荒々しさを失ったのかもしれないが、「僕は自分を変えようとは思わない」。という。「僕の激しさに人々は時々戸惑う。言い方は悪いかもしれないけど、僕は相手をぶちのめすためにコートに立つ。でも試合が終わればいつだって穏やかで落ち着いているよ。みんなが思うほど気性が荒いわけじゃない。試合となれば最高レベルで競い合いたい、それだけなんだ」