伝統のディフェンスで勝率5割を死守
2022-23シーズンから勝ち星をひとつ伸ばし、30勝のリーグ全体14位で2023-24シーズンを終えた秋田ノーザンハピネッツ。チームを支えたのは伝統の堅固なディフェンスで、ディフェンシブレーティング(100回攻撃された場合の平均失点)がリーグで8番目に低いことからもそれは明らかだ。
2ポイントシュートの被決定率はリーグ16位、3ポイントシュートの非決定率は21位と、どちらのショットも高水準で抑えられている点も評価できる。被フリースローポゼッション割合と、フリースローによる失点割合が共にリーグワースト7位だが、こちらはアグレッシブなディフェンス戦略とトレードオフなので問題ないだろう。
改善したいのはやはりオフェンスだ。2022-23シーズンにリーグワースト6位(105.9)だったオフェンシブレーティングが、昨シーズンはワースト4位(103.6)に下降。3ポイントシュートの試投割合がリーグ8位から6位に上昇したものの、決定率はリーグ7位(34.2%)からリーグ17位(32.6%)まで下がった。ただホームゲームに限ってはリーグ10位(33.5%)まで上昇し、チームとCNAアリーナ☆あきたでのポテンシャルも感じさせた。
スタッツ
予想スタメン
「新しい秋田のスタイルが見てみたい」という個人的な願望も含め、新加入選手主体のスターターを予想。クリスチャン・メコウルとタナー・ライスナーを入れ替え、3ポイント主体のスターターとした。
所属選手一覧
『獲得FP(ファンタジーポイント)チーム内1位選手』
※FP(ファンタジーポイント)は、選手の活躍度合を計る指標となるポイント。各選手が実際の試合で記録した成績に応じて算出される。
タナー・ライスナー(平均26.9分出場、12.1得点、6.6リバウンド、1.3アシスト)
※スペイン1部に出場していた5試合のスタッツも加味
シーズンごとに所属リーグが変わっている生粋のジャーニーマンは、2シーズン秋田でプレー。3ポイントシュートを主体にしつつドライブも得意とするフォワードといったイメージがあるが、積極的に3ポイントシュートを放ったのは秋田に加入してからとなる。秋田で花開き、日本という地で居場所を見つけたライスナーの活躍に期待だ。
【若手選手】
小栗瑛哉(平均6.7分出場、2.7得点、0.3リバウンド、0.9アシスト)
スタッツとしては控えめだが、37試合に出場。特筆すべきは、トップと左ウイングの3ポイントシュート決定率がそれぞれ45.8%と44.4%と非常に高確率であることだ。小栗はピック&ロールを利用してからプルアップスリーを打つ選択肢を持っているため、相手はファイトオーバーやビッグマンのショーディフェンスで守らざるを得なくなり、ドライブやパスといったその後の展開が有利になる可能性が高い。今シーズンはゴール下に切り込んだり、プレーメイクする小栗選手を見ることができそうだ。
【新加入選手】
ヤニス・モラン(平均26.2分出場、12.9得点、6.8リバウンド、1.8アシスト)
フランス代表歴を持つ31歳。プロキャリア12年目のベテランではあるものの、出場試合数、出場時間は昨シーズンがキャリアハイ、フランスリーグでのスタッツに限ると得点もキャリアハイを記録しており、全盛期に突入している。ピック&ロールやカッティングからパスを受けてスコアする典型的な『ロール&カット・ビッグ』だが、ターンアラウンド、ユーロステップなど多彩なオフェンスムーブでスコアしている。特に、ピック&ロールからロールインする際の動きは秀逸で、ドライブの動きに合わせてスペーシングやシール位置を変更。常にパスコースを維持しながらダイブすることができる巧さも持ち合わせているため、熊谷航や中山拓哉のアシスト増加が期待できるだろう。