フランツ・バグナー

「スカウティングレポートの半分以上はヤニスのもの」

パリオリンピックの準々決勝、ドイツはギリシャに76-63で勝利した。グループリーグでのドイツは、ブラジル、日本、フランスを相手に序盤からリードを奪う危なげない展開で3連勝を飾った。この試合は第1クォーターでオフェンスが停滞し11-21と出遅れてしまったが、第2クォーター以降はフィジカルの強さと連携に優れたディフェンスでギリシャの強力オフェンスを封じ込める。第2クォーターに巻き返して同点で前半を終えると、第3クォーター終盤に突き放す。そして第4クォーターは常に先行して危なげなく逃げ切った。

この試合、ドイツがギリシャをロースコアに抑えたポイントは、相手の大黒柱ヤニス・アデトクンボを勢いに乗らせなかったこと。この試合、アデトクンボは34分の出場、フィールドゴール14本中9本成功と高確率でシュートを沈め22得点を記録したが、ドイツにとっては許容範囲内だ。アデトクンボのリバウンドは、オフェンスリバウンド2本のみ。この数字が示すように守備面での彼の脅威を除外できたことは、セカンドチャンスポイントで13-7、ペイント内の得点で40-32と優位に立てた要因となった。

ドイツのエースであるフランツ・バグナーは、37分出場のフル稼働で18得点を記録。試合後には「スカウティングレポートの半分以上はヤニスに関するもので、コートにいる5人全員で彼を止めに行った」とアデトクンボ対策の徹底ぶりを明かす。

この試合は、ドイツバスケットボール界のレジェンドであるダーク・ノビツキーが観戦に訪れていた。『ロイター通信』によるとワグナーは偉大な先人の前で、ドイツ初となるオリンピックの4強入りを決めたことへの感慨をこう語っている。

「初のベスト4進出はとても意味のあることだ。チームの誰もが自分たちが特別なグループであることを分かっており、それが十分なモチベーションとなる。ダークがオリンピックに出場した時、僕はまだ7歳だった。彼のような選手のおかげで、僕たちは前進することでき、ここまでの長い道のりを歩めてきたんだ」

ノビツキーは先日、今のドイツ代表について「これまでで史上最高の世代だ。ドイツの歴史において最も完璧なチームだよ」と称賛している。この先輩の評価に違わないプレーを今のドイツ代表はコート上で示している。昨夏のワールドカップ優勝がフロックでなかったことをあらためて証明する、盤石の戦いぶりだった。