上澤俊喜

勝利をもたらした第4クォーターの9-0のランの中で、価値ある5得点

広島ドラゴンフライズはBリーグファイナル第2戦で琉球ゴールデンキングスに72-63で勝利。前日のリベンジを果たして、第3戦へと持ち込んだ。

初戦の広島は第1クォーターで大きく出遅れたが、今日は真逆の展開で堅いディフェンスとインサイドアタックで11-3と先制パンチに成功して主導権を握る。だが、第2クォーターに入ると琉球に3ポイントシュートを連続で決められ、30-34とひっくり返されると、第3クォーター序盤には11点ビハインドと劣勢に立たされた。しかし、ここで持ち味のスイッチディフェンスで琉球にタフショットを打たせて流れを変えると、第4クォーター序盤に9-0のランで主導権を完全に握ったことで勝ち切った。

このビッグランの口火を切ったのが上澤俊喜の3ポイントシュートだった。さらに上澤はこのランの中でもう一本、ターンオーバー奪取から貴重なジャンプシュートを沈めた。プレータイムは7分17秒だったが、試合の流れに大きな影響を与える5得点を挙げた。

レギュラーシーズンでの上澤は、3ポイントシュート成功率38.3%を誇るシューターとしてベンチから効果的な働きを見せていた。しかし、チャンピオンシップに入ると、この試合の前まで6試合で3ポイントシュート9本中1本成功のみと沈黙していた。それが、この崖っぷちでチームを救う働きを見せた。

「個人的にはCSで納得の行くプレーができていなかったので、ファイナルこそはという思いでコートに立っていました。ディフェンスから流れを持ってこられたと思います」

このようにファイナルにかける思いを明かした上澤は、価値ある2本のシュート成功についてこう振り返る。「流れ的には自分たちの良いバスケットができている時間帯で9-0のランが生まれました。自分たちのバスケができていたからこそ、気持ちよくシュートが打てたと思います。ボールを回してペイントタッチからフリーを作るバスケが、今日は体現できたと思います」

また、CSに入ってシュートタッチが悪い中でも、チャンスで打ち切るメンタルに変化はなかったと続ける。「チャンスでもらったらシュートを打つのが僕の役割ではあるので、そこはブレずに打てる場面は打っていくことを常に意識しています。消極的にならなかったからこその今日の1本だったと思います」

上澤俊喜

1年前にファイナルを現地観戦「来季はここで試合をしたい」との誓いを叶える

ファイナル前日、上澤は自身のXに昨シーズンのファイナルを現地観戦し、琉球の優勝を祝福するとともに「来季は絶対ここで試合をして勝ちたい」と記した投稿を引用する形で、新たなメッセージを投稿した。1年前に横浜アリーナまで足を運んでファイナルを見たのは、次の思いがあった。「純粋に見たいという思いがありました。そしてファイナルに立って優勝するチームはレギュラーシーズンとはまた違う戦い方をしています。決勝の舞台でどういうバスケをするのか、映像で見るのと生で見るのでは感じるモノが違います。だからこそ生で見たいと思っていました」

有言実行できたことへの充実感はあるが、気持ちはすでに次戦へとしっかり切り替えている。「自分に発破をかける意味でのXでの投稿でした。(1年前の)目標を叶えられるところまで来ているのは感慨深いです。ただ、そこに浸ることなく第3戦も僕たちのバスケをやってしっかりと勝ちに行きたいです」

そして「観客席から見るコートと、実際にコート上から見えるモノは全く違います。コートに立って大勢のファンの皆さんの声援を浴びてプレーできるのはうれしいです」と言うように、大舞台の雰囲気をしっかりと楽しめているからこそ、今日の活躍に繋がったのだろう。

この2試合を振り返ると、初戦では琉球の3ポイントシュートが15本成功と爆発。今日の第2戦は広島が3ポイントシュートを18本中11本成功と、驚異的な成功率だったことが大きな勝因となった。実力伯仲なため、シンプルにシュートを決め切った方が勝利しているが、この流れは第3戦でも変わらないだろう。だからこそ、上澤には再びXファクターとして、チームに勢いを与える長距離砲を沈めることが求められる。