三谷桂司朗

3人制バスケットボール『3×3』のパリオリンピック出場権は、すでに男女それぞれ5枠が決定し、残すは3枠。オリンピックは出場チームが8しかない『狭き門』であり、そのラスト3枠を巡る大会、世界最終予選(OQT)が日本時間の今日深夜からハンガリーで開幕する。2週間前に行われた宇都宮でのUOQT2では、1つの出場枠を8チームで争い、日本代表は男女ともグループリーグで2勝を上げながら決勝トーナメント進出を逃す不運を味わった。「ホームでの大会で何としてでも出場権を獲得したい」との願いはかなわなかったが、すでに世界のトップ5が抜けた段階での16チームの戦いでトップ3に入る今大会のほうが、むしろ勝機はあると見ていいだろう。

3×3男子日本代表はトーマス・ケネディ、保岡龍斗、小澤崚、三谷桂司朗の4人でこのOQTに挑む。チームがハンガリーに出発する5月11日、出国直前の三谷にその意気込みを聞いた。

「日の丸を背負ってプレーするプライドや感謝」

──宇都宮でのUOQT2は残念な結果に終わりましたが、三谷選手は良いパフォーマンスができ、自分が3×3の国際大会でも活躍できるという自信を得られたのではないでしょうか。

そうですね。正直に言うと大会当日まで不安な部分もあったんですけど、試合が始まる時には悩みを振り切って、自分の強みを生かしていこうと思えました。ドライブでチームに勢いを与えるところでは、自分の役割を遂行できたと思います。

──「積極的に行こう」と思うだけでは積極的にプレーできるとは限らないのが試合の難しいところで、3人制に慣れていない、しかも国際大会とあって難しさもあったと思います。

これまでのバスケ人生の中で「やりたいけど今は僕の番じゃないかな」と思ってしまって消極的になることが何度もありました。今もそういう面が全く出ないわけではないのですが、5人制に比べて人数が少ないので他の選手に任せられる部分が減りますし、コーチ不在なので選手4人で瞬時に状況に対応していかなければならず、5人制の時よりも「自分がやるぞ」という気持ちを強めに出していったほうがバランスが良いので、そこはちょっとしつこいぐらいにやっています。そこが上手く噛み合ったのを宇都宮で皆さんに見てもらえて良かったです。

──休みなくずっと稼働が続いていますが、UOQT2でオリンピック出場を決めるという気持ちが強かっただけに、モチベーションを保つのは大変なのでは?

体力面でも気持ちの面でも、正直に言うとしんどい時もちろんあるんですけど、それ以上に日の丸を背負ってプレーするプライドや感謝の気持ちのほうがはるかに大きいです。自分のチームは今チャンピオンシップを戦っていますが、その大事な時期にオリンピックを目指す僕の意思を尊重して送り出してもらっているので、甘えていられないという気持ちです。

3x3男子日本代表

「変に気負うことなく自分らしさを」

──若い三谷選手は、試合をやるたびに力が伸びているような感覚を得ているのでは?

3人制の競技特性への適応を1試合1試合積み重ねることで、そこに自分のプレーを合わせられるようになっていると思います。審判の笛の基準も5人制とは結構違うので、3人制ならではのあまりファウルを取られないような激しいプレーを意識しながら、ずる賢くプレーできるようになっていたり。個人的には同じバスケでも全然違う競技だと感じているので、プレースタイルもマインドセットも3人制とは違うところに少しずつアジャストできています。

──3×3の国際大会の経験がそれほど多いわけではない三谷選手だからこそ、UOQT2で経験を積んでのステップアップがチームの成長に直結すると期待したいです。

僕自身もその気持ちでやっています。良くも悪くも僕のパフォーマンス次第でチームの勢いが変わると個人的に感じる部分もあります。経験豊富な先輩が周りにいて、練習や試合はもちろん、プライベートの時間でもいろんな話をして、3×3の考え方などを教えてもらっているので、そういうアドバイスがプレーにも生きています。そのすべてを吸収しながらプレーしていくことがチームに良い影響を与えられると思うので、変に気負うことなく自分らしさを出せるよう頑張ります。

──応援してくださるファンの皆さんへ、メッセージをお願いします。

今回がパリオリンピックの出場権を獲得する最後のチャンス、本当の大一番です。宇都宮ではたくさんの人に応援していただく中でプレーできたんですけど、優勝できなかった悔しさが本当に大きいです。今回、ハンガリーで必ず切符を勝ち取るためにも、もう一度皆さんに応援していただきたいという気持ちがすごく強いので、是非とも応援よろしくお願いします。