ダリアス・ガーランド&ドノバン・ミッチェル

若いキャブズがプレーオフの重圧を克服

今シーズンのプレーオフで初めての、そしてファーストラウンドでは唯一の『GAME7』となったキャバリアーズvsマジックは、キャブズが最大18点のビハインドから第3クォーターに逆転し、106-94で勝利してシリーズ突破を果たした。

プレーオフでの勝負強さを過去に何度となく発揮してきたドノバン・ミッチェルが39得点と本領を発揮。フィールドゴール27本中11本成功、3ポイントシュートは8本中2本成功とシュートタッチが必ずしも良かったわけではないが、マジックが誇る激しいディフェンスに対して常に強気のアタックを仕掛け、17本のフリースローを得るとともに相手ディフェンスを引き付けてのチャンスメークも光った。

ミッチェルは強気に攻め続ける背中を見せることで、プレーオフでの経験不足というチームの弱点を補った。若いチームメートたちも、昨シーズンのファーストラウンドで戦う気持ちを出せず、ニックスにあっさり敗れた過ちを繰り返さないよう奮起した。

逆転の第3クォーターはミッチェルが17得点を挙げた他、マックス・ストゥルースが3ポイントシュート3本成功を含む11得点と爆発。それと同時に粘りのディフェンスを貫き、マジックにオフェンスリバウンドを拾われてもイージーシュートのチャンスを与えず、15得点と失速させた。

相棒のジャレット・アレンがケガで第5戦以降を欠場したことで責任が増したエバン・モーブリーは、マジックのプレー強度に一歩も引かずインサイドを支えるようになった。ダリアス・ガーランドはフィールドゴール13本中3本成功と絶不調であっても、ポイントガードとしてプレーメークする責任を投げ出さなかった。これらは勝ったことと同じか、それ以上に大きなチームとしての収穫だ。

特にガーランドは、プレーオフになって経験豊富なミッチェルが目立てば目立つほど存在感が薄れ、ミッチェルにボールを預けるまでが仕事という消極的な姿勢も垣間見られた。しかし、そんな彼の背中を押したのはミッチェルだった。ミッチェルがガーランドを鼓舞する様子は、試合を通して何度も見られた。

試合後の会見でミッチェルが一番うれしそうに語ったのは、まさにこのことだった。「パーセンテージが上がってこなくても、レイアップを外しても、何だっていいから自分を信じ続けるんだと彼には言い続けた」

第4クォーター残り6分を切ったところで、ガーランドはこの日唯一の3ポイントシュートを決める。それはミッチェルのアシストから放った1本目を外した後、セカンドチャンスで再びミッチェルからパスが出たチャンスを決めたものだ。ミッチェルは言う。「自分を信じたからやれたんだ。彼はやってくれた。オフェンスリバウンドを取ってくれたアイザック(オコロ)も最高だった。僕はダリアスにいつもそうあってほしいと願っている。何があっても自分らしく積極的にプレーして、シュートを打ち続けるんだ」

ガーランドの3ポイントシュートが決まって88-77。残り時間を考えると『勝利を決定付けた』とまでは言えないが、マジックを精神的に追い詰め、シリーズ突破を引き寄せるビッグショットだったのは間違いない。そしてそれは、プレーオフの重圧をキャブズの若い選手たちが克服した瞬間でもあった。

キャブズは『レブロン以降』で初めてのシリーズ突破に成功した。大きな壁を乗り越えた喜びにチームは沸いていたが、ミッチェルは「このチームが僕を獲得したのは、ファーストラウンド突破のためじゃない」と語った。「第5戦に勝った時もロッカールームで僕は『まだ成し遂げてないよな?』とみんなに言った。それがマインドセットなんだ。ここで止まるわけにはいかない。勢いを増してもっともっと先まで進むんだ」

そして彼は笑顔とともにこう続けた。「みんなセルティックス有利を予想してるんだろう? 誰が何を言おうと、僕は僕らしく、自信を持って戦い続ける。次のシリーズを突破するにはアウェーでの勝利が必要になるから、それを取りにボストンに行くよ」