タイリース・ハリバートン

ミドルシュートは得意、リバウンドは共通した弱点

NBAファイナルはサンダーとペイサーズの顔合わせになりました。ともに2年前はプレーオフにも出ていませんでしたが、継続したチーム作りで独自の戦術を磨き上げ、一気にNBAファイナルの舞台へと駆け上がってきました。

オフェンスのペイサーズ、ディフェンスのサンダーというチームカラーに加え、アシストでチームをコントロールするタイリース・ハリバートン得点でチームを牽引するシェイ・ギルジャス・アレクサンダーという両エースのプレースタイルは対照的ですが、その一方で共通点も多くあります。

この両チームの共通点、相違点を数字で見ていきましょう。

アシスト/ターンオーバー率はサンダーが2.29で1位、ペイサーズが2.22で2位とともにパスゲームから得点を奪いながら、ミスが少ないのが特徴です。ただし、サンダーはスティールから速攻を決めていくことが多いためターンオーバーが少なく、ペイサーズはトランジションでパスを繋ぎアシストが多いという違いもあります。そのトランジションでの得点はペイサーズが26.2で6位、サンダーが25.5で8位と、こちらも拮抗しています。

早い展開を得意とする両チームですが、基盤となる運動量には違いがあります。1試合当たりの走行距離はペイサーズが19.1マイルで2位なのに対し、サンダーは18.5マイルで16位と意外にも走っていません。ただし、これはサンダーのディフェンスが強烈なプレッシャーで相手のパスワークを封じ込めて、長い距離を走っていないことも関係しています。サンダーの強烈なディフェンスがスティールを生み出せるのか、それともペイサーズのパスワークがプレッシャーをかいくぐるのか、ここがシリーズの行方を大きく左右しそうです。

現代バスケでは非効率とされているミドルシュートですが、1試合当たりのアテンプトはペイサーズが11.2で4位、サンダーが10.1で7位と、3ポイントシュートにこだわらずに打っていく傾向があります。

両チームともプレーオフになるとミドルシュートの本数をさらに増やしており、プレーを読み合う中で相手を攻略するには重要な武器だと考えていそうです。

リバウンド奪取率はサンダーが49.6%で19位、ペイサーズが48.3%で28位と50%を下回っており、リバウンドに弱点があるのも共通点です。両チームともカンファレンスファイナルまでは、この弱点を補うための戦略に注力していましたが、NBAファイナルまでに相手の弱点を突く戦略を考えてくるかもしれません。リバウンドの弱い両チームが何を狙ってくるかは、予想外の展開を生み出す要素になります。

チームカラーが異なるにもかかわらず共通するスタッツが多いのは、今のNBAで勝つために重要な要素を抑えているとも考えられます。両チームがどのような戦いを見せるのかはもちろん、今後の戦術トレンドになっていく可能性もあるだけに、数字にも注目したいNBAファイナルとなります。