23日は16得点、2桁得点を挙げた試合ではここまで9戦全勝の不敗神話
川崎ブレイブサンダースは3月23日、24日とホームで佐賀バルーナーズと対戦。23日は74-65と制したが、24日は前日の課題を修正した佐賀に前半からリードを許して78-87と敗れ1勝1敗に終わった。
この2試合、川崎は得点源の1人であるロスコ・アレンがコンディション不良で欠場。自ら得点を決めるだけでなく、208cmのサイズを生かした力強いアタックで攻撃の起点になっていたアレンがいないことで、藤井祐眞とニック・ファジーカスの2大エースに依存しすぎるアンバランスなオフェンスが続いた。
ファジーカスがペリーメーター付近でボールを受けては、佐賀の激しいプレッシャーに苦しめられてボールムーブが停滞。その結果、アウトサイドからの単発シュートを打っては外れるという悪循環に陥った。相手が徹底マークで潰しにきているにもかかわらず、ファージカスにボールを預け続ける単調な攻めは2日間を通して同じだったが、それでも23日の試合に勝てたのは守備で我慢でき、オフェンス面で野﨑零也が活躍したことが大きかった。
23日の野﨑は、3ポイントシュート6本中3本成功でシーズンハイの16得点を記録。さらにゴール下への積極的なドライブで守備のズレを作り出すなど、チームに勢いをもたらした。
今シーズンから川崎に加入した野﨑は、豊富な運動量を生かしたタフなディフェンスに加え、3ポイントシュート成功率も37.8%と好調。だが、ここまで42試合出場で平均5.3得点に留まり、そもそもフィールドゴールの試投数は1試合平均4.0本とあまりシュートを打っていない。
野﨑が積極的にボールに絡んでいる時の川崎オフェンスは、そうでない時と比べて明らかに的が絞りにくく、守りにくい。彼が1試合2桁得点を挙げた試合はここまで9戦全勝だが、これは偶然の一致ではないだろう。ファジーカスと藤井の2大エース以外の攻め手を増やす必要がある川崎において、野﨑はオフェンス改善の鍵を握る重要な存在だ。
「やっと少しはチームを助けられるようになっているのかな」
23日の試合後、野﨑はシーズン終盤に向けての意気込みをこう語っている。「やっぱりニックや祐眞さんが点を取れない時に、誰が点を取っていくのか。ベンチポイントも大切ですし、ウイングの日本人が得点に絡んでいかないと上位相手に勝てないです。でもディフェンスも僕の強みとしてあるので、ハッスルしてチームを盛り上げていくことも変わらずにやっていきたいです」
そして、「オフェンスが停滞している時、自分が打破したい気持ちはすごく持っています」と話すように強い覚悟を持っている。この意識は、シーズン序盤とは明らかな違いがある。
「加入した当初は、ニックや祐眞さん、外国籍選手が点を取れるから、自分はディフェンスをやっていれば大丈夫かなという思いもありました。でもスタッツを見て、彼ら以外にも得点を取らないといけない、自分がオフェンスでもけん引していきたいという気持ちがどんどん芽生えています」
24日は3得点と不発に終わったが、20日の三遠ネオフェニックス(36勝9敗、中地区1位)戦、そして23日と野﨑は続けて15得点以上をマーク。気持ちの変化は実際のプレーにも現れている。そして、「やっと少しはチームを助けられるようになっているのかな。そんな感じです。ゲームクローズの場面は、ベテランの方々が出ていますが、そこに割って入れるような選手になっていきたいです」とさらにチームに貢献できる選手になりたいと力強く語る。
辻直人の移籍以降、川崎は2番、3番ポジションにおける日本人の得点力がオフェンスにおける課題となっている。そして野﨑は、この問題を解消できる力を持っていることを示している。逆転でのチャンピオンシップ出場へ向け、川崎は野﨑が持ち味をより発揮できるようなオフェンスを推し進めていくべきではないだろうか。