川崎に完勝、桶谷HC「これをやっていたらどこにも負けないという会心のゲームができた」
2月14日、天皇杯セミファイナルで琉球ゴールデンキングスと川崎ブレイブサンダースが対戦。序盤からフィジカル勝負で圧倒した琉球が98-70で圧勝した。
琉球は試合の出だしからディフェンスの強度で川崎を上回ることで、流れを引き寄せる。そしてテンポよくパスを散らすことで外から確率良くシュートを沈め、24-15と先制パンチを食らわす。
第2クォーター以降も琉球のペースは変わらず。1対1でしっかり守り切ることでズレを作らせず、川崎に次々とタフショットを打たせると、オフェンスではトランジションを次々と生み出すことで得点を量産。こうして、力の差を見せつけた琉球は第3クォーター終了時点で25点リードとし、楽々と逃げ切った。
琉球の桶谷大ヘッドコーチは「今日は出だしからディフェンスもゲームプラン通りできました。オフェンスはボールが回ってシュートも入っていた。これをやっていたらどこにも負けないという会心のゲームができたと思います」と、大きな手ごたえを感じた。
この試合、琉球は98得点と大量得点を挙げながらチームハイはヴィック・ローの15得点。6人が2️桁得点をマークするなど、バランスの取れたオフェンスで川崎に的を絞らせなかった。指揮官は「このチームにはタレントがいて、良い状況判断を続けたらこれだけの点数が取れます」と語り、試合前にアシスタントコーチのアンソニー・マクヘンリーと次のやりとりがあったと明かした。
「マクヘンリーが試合前、ずっと『このチームはこれだけタレントがいるのに90点を取らないのはおかしい』と言っていました。『80点台のチームではなく90点を取らないといけない』と、話しをしていました」
岸本隆一も大きな手応えを得た試合だったと振り返る。「40分を通して自分たちのリズムで試合ができる時間が長かったのが勝因かと思います。オフェンスはすごく流動的にできて、ディフェンスもポイントを絞って抑えられました。すごく自分たちにとって自信になるゲームになったと思います」
「たくさんのファンの方に来ていただいて、自分たちの空気感でやることは絶対に必要」
岸本は持ち味の3ポイントシュートを5本中4本成功させて14得点。チームに勢いを与えた彼にマクヘンリーの『90点を取らないと』という発言について聞くと、次のように自信を見せる。
「みんなが力を出せば、点数を重ねられる選手が多いので90点を取ることは可能かなと思います。ただ、普通に力を出すのが難しいところはあります。誰を中心に攻めていくのか、ポイントをつかみづらい部分はあります」
岸本が言及するように、相手が様々な対策をしてくる中で、自分の持っている力をしっかりと出し切ることは簡単ではない。その上でハンドラー役として攻撃の起点も担う岸本は、しっかりとチームで攻めることを重要視する。「相手が攻められたら嫌なところは、どこなのか考えています。理想は一回のポゼッションでみんながボールを触ること。みんながプレーに関わることが大切です」
琉球にとって天皇杯決勝は2年連続で、対戦相手は昨年と同じ千葉ジェッツとなる。昨年は終始、千葉Jに主導権を握られて敗れたが、その後、再戦となったBリーグファイナルでは、2連勝とやり返して悲願のリーグ王者となった。
「去年とは全く違う状況だと思っています」と岸本は、チームの進化を語る。「自分たちもそれなりにいろいろなことを経験できて、覚悟が決まった状態で決勝に臨めます。勝ち取るべくして、勝ち取れたらいいです。一発勝負なので、何が起こるかわからないことも込みで、とにかく力を出し切ることに集中して準備をしていきたいです」
岸本はBリーグが誕生する前のbjリーグ時代から琉球に在籍している。NBLとの2リーグ分裂時代、bjリーグのチームは天皇杯に出場することができなかった。「個人的にはあまり縁がなかった大会です。学生の時に出場して1回戦負けだったり、プロに入ってからはそもそも出ることもなく、Bリーグが発足してやっとタイトルを狙える、狙っていいポジションにこられました」
大会に出場すらできない苦い思いを経験した岸本は、「すごく欲しいタイトルです」と日本バスケ界で最も歴史ある栄冠を切望する。「もちろん天皇杯が終わってもシーズンが続いていきますが、ステップにするための大会にしたくないです。沖縄のためにだけでなく、自分自身のためにも天皇杯を獲りにいって、その結果たくさんの人にいろいろな気持ちを共有できたり、共感してもらえたらうれしいです」
そのためには、琉球ファンの声援が欠かせないと強調する。「(試合後のコートインタビューで)埼玉で会いましょうと言いましたが、どれだけ自分たちの雰囲気でやれるのか。たくさんのファンの方に来ていただいて、自分たちの空気感でやることは絶対に必要で、それこそ一番重要だなと思います」
決勝の舞台は沖縄から遠く離れた埼玉スーパーアリーナ。岸本はファンの大きな声援を力に変え、いつも通りの環境でプレーすることを望み、それができると信じている。沖縄一丸となって戦い、沖縄全体で歓喜の瞬間を迎えることしか考えていない。