スクート・ヘンダーソン

「ルーキー・オブ・ザ・イヤーを狙っている」

トレイルブレイザーズはここまで8勝21敗。勝てているとは言い難いが、再建1年目のチームとして見どころがないわけではない。目先の勝利よりも、中長期的な視野に立ったチーム作りが求められる状況で、ドラフト1巡目3位指名のルーキー、スクート・ヘンダーソンの成長ぶりに注目が集まっている。

19歳のヘンダーソンは開幕スタメンを勝ち取ったが、ケガでしばらく戦線離脱した後はベンチスタートに回っている。これは指揮官のチャウンシー・ビラップスによれば降格ではなく、「先発で出ると少し行き急ぐ傾向にあった。最初はベンチから試合を観察し、それから落ち着いて出て行くほうが彼には合っている」という判断だ。

復帰後しばらくはプレータイムが制限されたが、12月に入ってからは26.8分と先発だった開幕当初と変わらない出場時間を得て、13.4得点とスタッツを伸ばしている。コンスタントに得点が取れるわけではなく好不調の波が激しく、3ポイントシュート成功率が上がってこないのは気がかりなところ。ディフェンスでは激しいプレッシングで相手にとって厄介な存在となっているが、笛にアジャストするのには苦労しておりファウルが減らない。

それでも、大学に進学せずにGリーグのイグナイトからNBAへとやって来た彼はまだ19歳で、成功も失敗もすべてを糧に成長している。小柄ではあるが爆発的な運動能力とパワーを持つヘンダーソンにしかできないプレーを1試合に何度も見せており、急ピッチでの成長を続けている。ビラップスはかつてピストンズに優勝をもたらし、ファイナルMVPを勝ち取った経験を持つポイントガード。コート内外でお手本となるベテラン、マルコム・ブログドンの存在も大きい。

「ペースを変えるタイミングをどう測るか、スカウティングを実際のプレーにどう生かすか。他にもNBAに来るまで知らなかったことがたくさんある。ディフェンスでもオフェンスでも僕は学びながらプレーしている。毎試合で成長できるよう努力しているところなんだ」とヘンダーソンは言う。

「このリーグでポイントガードとしてプレーするのは並大抵のことじゃない。新しいシステムを作り、プレースピードを上げていこうとしているチームということもある。でも僕は自分の成長にフォーカスして学んでいく。自分のプレーを見直したり、NBAで活躍する他のガードのプレーを見たり。どう攻めてどう守るかだけじゃなく、どうやってチームメートを巻き込んでいくか。それを続けていけば、自分は必ずレベルの高い選手になれると信じている」

ポイントガードは経験がモノを言うポジションで、ビラップスでさえ最初は結果を出せずにチームを転々とすることを余儀なくされた。それでも若いヘンダーソンに何年も待つつもりはない。「僕はまだルーキー・オブ・ザ・イヤーを狙っているよ」と彼は言う。

すでにスパーズのビクター・ウェンバニャマで当確、対抗できるのはサンダーのチェット・ホルムグレンだけと見られているルーキー・オブ・ザ・イヤーを、彼はまだあきらめていない。