岡田優介が語るバスケ部時代vol.4「プロ選手になって10年、あの時に頑張っていた自分が今の自分につながっている」

2017/02/10
Bリーグ&国内
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文=松原貴実 写真=野口岳彦、本永創太

『バスケット・グラフィティ』は、今バスケットボールを頑張っている若い選手たちに向けて、トップレベルの選手たちが部活生時代の思い出を語るインタビュー連載。華やかな舞台で活躍するプロ選手にも、かつては知られざる努力を積み重ねる部活生時代があった。当時の努力やバスケに打ち込んだ気持ち、上達のコツを知ることは、きっと今のバスケットボール・プレーヤーにもプラスになるはずだ。

PROFILE 岡田優介(おかだ・ゆうすけ)
1984年9月17日生まれ、東京都出身のシューティングガード。プロ選手でありながら公認会計士試験に合格し、会計士としての活動も行いつつ、3x3の「DIME.EXE」に選手兼オーナーとして参画したり、日本バスケットボール選手会を立ち上げるなどマルチな活動を行う。本業の選手としてはBリーグ1年目を京都で迎え、クラッチシューターの実力を発揮、すぐにチームの中心となった。

自分の頭で考え、自分で進む道を決めてきた

小学生時代に遊びの延長のような感覚で始めたバスケットですが、どんどんのめり込み、気がついたらバスケットがいつも生活の真ん中にありました。間違いなく自分が何よりも優先してきたものであり、バスケットをするために自分の頭で考え、自分で進む道を決めてきました。

でも、当たり前のことですが、それはあくまで自分が選んできた道であり、人もこうあるべきだとか、そういう考えは全くありません。例えば、たまに「バスケットで大学に入ったのに授業をさぼって卒業できない選手のことをどう思いますか?」みたいなことを聞かれたりするんですが、僕はそのことに関してどうこう言うつもりは全然ないです。だって授業をさぼって卒業できなくなったとしても、それを含めてその人が選んだ道じゃないですか。

どの道を選択して、どんなふうに生きていくかはその人の人生です。これは別に上から目線で突き離して言っているのではないですよ。だらしないところはあるけど人間的にはいいヤツもいるし、大学という枠の中で生きるのは苦手だったけど、別の場所で自分を生かせるヤツもいる。一つがダメだからといって全てがダメなわけじゃない。だから、人の人生に口出しするようなことはしません。

ただし、相談されたりしたときは別ですよ。道の選択について悩んでたりするときは「この道を選べばこういう結果になる可能性が高いし、こっちを選べばこういう結果になるんじゃないか」みたいなことはアドバイスします。そういうことは割とおせっかいというか、進んで面倒を見たがるところがありますね。でも、その時も「この道を選べ」とは絶対に言わない。選ぶのはその人自身です。「なぜそっちを選ぶのか?」とも聞かない。どの道を選ぼうと、それはあくまでその人の人生だと思っています。

僕は大学3年生の時に公認会計士の勉強を始めましたが、そのきっかけが「大学卒業に必要な単位は全部取ったので、別の勉強をしてみたい」という気持ちだったにせよ、「公認会計士という資格を取れば将来バスケット選手としても何か役に立つかも」という思いがあったのも事実です。

決めたら即実行する性格なので、それからは合格までの計画を練りながら1日平均10時間、多いときは17時間ぐらい勉強しました。バスケットの合宿があるときは同室の選手の迷惑にならないよう部屋を抜け出し、近くのファミレスでひたすら勉強していました。でも、そんな中でも自分の最優先順位はバスケットであり、寝不足で練習がおろそかになるようなことはあってならないと言い聞かせていたように思います。

これまでの人生の中で初めての『受験』でしたが、同時にあんなに勉強したのも人生で初めてでした。もう一度やれと言われたら「無理です」と即答します。大学3年(2005年)から受験勉強を始めて、合格したのは2010年。合格発表の日は日本代表メンバーとしてアジア競技大会に出場するため中国(広州)にいました。チームのみんなから祝福され、大きな達成感と喜びで胸がいっぱいになったあの日は一生忘れられません。

バスケットと勉強、自分がより高い場所を目指すのであればどちらも努力が必要なことに変わりありません。ですが、努力が結果として表れやすいのは勉強の方かなという気がします。僕は公認会計士の試験合格までに5年かかりましたが、努力を続けていれば必ず合格できるという自信がありました。

それに比べ、バスケットはチームスポーツということもありますが、努力が必ず結果に結びつくとは限らない。努力しても努力しても勝てないこともあります。だけど、それと同時に努力することで格上のチームに勝てるチャンスも生まれるんです。僕はそれがスポーツの面白さだと思うし、だからこそ、負けても負けてもまたやりたくなる。足りないものを考えて、それを克服する努力をして、今度こそ勝ってやるぞと思うんです。

いかにステップアップして期待以上のものを発揮できるか

現在僕が所属するBリーグの中には当然上位チームと下位チームがあって、自分がどういう位置付けでそのチームにいるかというのは選手それぞれ違います。でも、与えられた環境の中で自分を磨いていくというのはみんな同じ。上位であろうが下位であろうが、そのチームの中でいかにステップアップして期待以上のものを発揮できるか、僕はそれが選手としての醍醐味というか、楽しさだと思っています。

それはきっとレベルこそ違え、中学でも高校でも変わらないのではないでしょうか。強豪チームであろうと弱小チームであろうと同じです。自分が今いるチームの中でどれだけ頑張って成長できるか。それが部活をやる上で一番大切なことであり、バスケットをやる意味と同時に楽しさだと思います。

32歳になり、プロ選手になってちょうど10年になりました。バスケットを始めてから今日まで辞めたいと思ったことは一度もないし、バスケットが嫌になったことも一度もありません。でも、振り返れば数えきれないほど失敗をしてきたし、苦しいことも沢山ありました。いい思い出ばかりではありません。

ただ言えるのは、あの時に頑張っていた自分が今の自分につながっているということです。だから、部活を頑張っているみんなには「今、あなたがやっていることは必ず将来につながるよ」と伝えたいですね。

部活なんて苦しいことのほうが多いし、試合に負ければ悔しいし、泣きたくなるようなこともいっぱいあるかもしれないけど、それでも今、頑張っていることはどんな形にせよ、必ず未来のあなたにつながっています。中学生や高校生のみんなが自分の5年後、10年後を想像するのは難しいかもしれませんが、今の自分が未来の自分をつくっていることを信じて、つらい時はそのことをちょっとだけ思い出してみてください。10年後のみんなに代わって、僕から贈るメッセージは「頑張れ、今の自分!」です。

バスケット・グラフィティ/岡田優介
vol.1「友達とのバスケだけでは物足りなくて、夜間開放の体育館で大人と一緒に草バスケ」
vol.2「進学先の候補校にはすべて自分で足を運び視察、日本一になるために土浦日大を選択」
vol.3「地元開催のインターハイ、能代工を相手に『完全ホーム』に後押しされる喜びを知る」
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