文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

徹底したディフェンスでキーマンの富樫勇樹を抑え込む

栃木ブレックスのリーグ再開は、オールジャパン準々決勝と同じ相手となる千葉ジェッツとの対戦。オールジャパンでは千葉のアグレッシブなディフェンスの前に完敗を喫した栃木だが、この試合では栃木が前回の反省を生かし、千葉のストロングポイントを消して前半で大量リードを奪い、そのまま勝ち切った。

遠藤祐亮が「富樫選手が良い調子になると千葉もいいリズムになるので必死に抑えました」と語ったように、前回の試合でいいようにやられた富樫勇樹を自由にさせず、千葉のオフェンスを停滞させた。さらに遠藤は「最初からアグレッシブに行こうと思いました」と言うように思い切りよくシュートを放ち、第1クォーターだけで10得点を挙げてオフェンスも引っ張った。

遠藤だけではない。小野龍猛がミスマッチを突いてポストプレーで攻めるもダブルチームで得点を許さず、素早いローテーションディフェンスでノーマークをほとんど作らせなかった。富樫のピック&ロールもスイッチした選手が3ポイントラインのところまで追いかけ、執拗なプレッシャーでジャンプシュートを封じる。

その間に、ライアン・ロシターのドライブからジェフ・ギブスが合わせてのバスケット・カウント、相手のターンオーバーからロシターが速攻を決めるなど得点を重ねていく。千葉がディフェンスをゾーンに切り替えてリズムを狂わせようとするも、すぐさま遠藤が3ポイントシュートで攻略して見せた。

この時点で4本中3本の3ポイントシュートを沈めた遠藤とは対照的に、千葉のシューター、石井講祐のタッチが悪く、コーナーからの3ポイントシュートをボードにぶつけるなど精彩を欠いた。

順調にリードを広げていった栃木の中で、勝利への執念を見せたのが田臥勇太だ。パスカットされ千葉に走られるも田臥がプレッシャーをかけて、イージーシュートを許さない。オフェンスリバウンドを取った石井がシュートを狙うも田臥が渾身のブロックショットでゴールを守る。ルーズボールへの反応が弱く相手にポゼッションを渡したシーンでは、チームメートに鬼の形相で檄を飛ばして雰囲気を引き締めた。

田臥の鼓舞で集中力を増したチームは千葉を圧倒。このクォーターを10点に抑え、42-23と大量リードを奪って前半を終えた。

様々な手を打ってくる千葉、すべてに対応し抑えた栃木

後半に入ると、千葉のマイケル・パーカーが一人気を吐き、オフェンスリバウンドに積極的に絡みセカンドチャンスポイントをもたらして追いすがる。すぐさまヘッドコーチのトーマス・ウィスマンはタイムアウトを要求し、「パーカーがハッスルしている。全員でリバウンドを意識してもう一回(立て直す)」と指示を出した。この指示をしっかり体現したのがジェフ・ギブスと竹内公輔だ。オフェンスリバウンドに飛び込み、外れたボールをタップで押し込んだ。

第3クォーターは千葉が1点上回ったものの、栃木は最終クォーターでも主導権を明け渡すことなく、賢く時計を進めていった。残り4分13秒、速攻で走りドライブを仕掛けた田臥の身体を富樫が背後からつかみ、アンスポーツマンライクファウルを宣告される。これで得たフリースローを確実に沈めて74-51。栃木の勝利を決定づけるプレーだった。

その後、栃木はセカンドユニット主体にメンバーを切り替え、富樫に連続で3ポイントシュートを沈められるも、それ以上の追撃は許さず、80-67で千葉にリベンジを果たした。

「オールジャパンのチャンピオンチームにしっかり勝てて良かった。オールジャパンの敗戦を受けてのリベンジマッチだったのでしっかり激しいパフォーマンスをして勝つことができて良かった」とウィスマンは喜びを表した。

千葉はタイラー・ストーンが出場せず苦しいチーム事情ではあったが、すべての面で完敗だった。次は週末、ホームに戻ってシーホース三河との対戦。こちらもオールジャパンのリベンジに燃えており、正念場の試合となる。

これで対戦成績を3勝1敗とした栃木。千葉との再戦は交流戦を挟みシーズンのクライマックスを迎える4月までお預けとなる。強豪との対戦が続く栃木は次節、リーグ最高勝率の川崎ブレイブサンダースをホームで迎え撃つ。