グレッグ・ポポビッチ

「誠実さ、忠誠心、献身、行動力、決断力、無私無欲」を備えた指揮官

バスケットボール殿堂のスピーチで、グレッグ・ポポビッチは司会者から「誠実さ、忠誠心、献身、行動力、決断力、無私無欲。リーダーシップに必要な6つの要素をすべて持った指揮官」と紹介された。プレゼンターを務めたデイビッド・ロビンソン、ティム・ダンカン、マヌ・ジノビリ、トニー・パーカーに導かれて壇上に立ったポポビッチは、まず4人に対して「黙って座っていろよ」と釘を刺した。

「この感情を表す言葉が見付からない。謙遜しているわけじゃなく、想像を超えたものだからだ。ともに殿堂入りする顔ぶれを見て、そこに自分がいることをどう受け止めたらいいのか。こうして話すことはできても、私の胸にある感情を表現する言葉はないよ。私はどうしてここにいるのか、いったい何をしているのか?」

それから彼は自分がバスケットボールを始めた頃から現在に至るまで、彼を支えた多くの人々への感謝の気持ちを語った後で、「良い選手がいれば何とかしなきゃと思う。そこで私が何をしたかと言えば、ただそこにいただけだ」と続けた。

自分と同時に殿堂入りを果たし、隣で座って見守るトニー・パーカー、そしてティム・ダンカンに目をやったポポビッチは、こう語り続ける。「私は19歳のトニーに完璧を求めて厳しく接したものだ。今の社会であんな指導をしたら、私は捕まって牢屋行きだろう。その後の私は随分と穏やかになり、彼も私のことを優しいと言ってくれるのだから、実際に変わったんだろう。ティミー(ダンカン)は、ただ私の言葉を聞いていることをうなずいて知らせてくれれば良かった。私はこのチームを本当の意味でコーチしていると感じ、自己満足を得て良い気分になりたかった。うなずくことでその気持ちを満たしてくれたティミーには感謝している」

「コーチがやれるのは、ただ選手をコートに送り出すことだけ。だから最後に伝えたいのは、勝ち負けはくだらないということだ。良い時も悪い時もあるが、すべてどうでもいい。実際には存在しない幻想だよ。勝ちも負けも、いずれ風化して消えていく。しかし、選手やその家族、アシスタントコーチや一緒にいるスタッフなど、仲間たちとの関係は消えない。その関係はいつまでも残るものだし、本当の自尊心や満足を与えてくれる」

「私たちは困難な時代を生きていて、だからこそそういった関係が必要なんだ。今よりもっともっと良い関係を築くことが求められているんだ」