桜花学園

取材・写真=古後登志夫 構成=鈴木健一郎

今年の桜花学園はスタメンに1年生、2年生が名を連ねるフレッシュなチーム。今回は坂本雅キャプテンを中心に、2年生のスコアラー平下愛佳と1年のポイントガード江村優有に取材に応じてもらった。新チームになってから急成長を続けてきたが、集大成となるウインターカップを前にしても「伸びしろもまだまだいっぱいある」と自信満々。学年に関係なくコミュニケーションが円滑にできることは彼女たちの様子からも明らか。それが今のチームの強さになっている。

江村「先輩とも後輩ともしゃべりやすくなりました」

──ウインターカップの準備として台湾遠征を行ったそうですが、刺激を受けましたか?

江村 日本人の選手よりガタイがめっちゃ良くて、センターの選手が普通に外からドライブに行ったりとか。ディフェンスはいつもガードについて、相手も小さいので守れますが、台湾の選手は縦にも横にも大きくて、パワープレーで中に入られてシュートを打たれたので、そんな時にどうするかはこれからの課題です。

平下 台湾のチームはゾーンが多くて、日本だとなかなかできないゾーンアタックの練習ができました。それはウインターのためになったと思います。

坂本 オールスイッチしてくるチームが多く、あまりミスマッチにならないし、オフェンスでも日本のチームとはまた違うオフェンスの動き方が結構多いのですが、しっかり対応してディフェンスできたので、そこは自信になりました。

──今年は試合を通じてすごい成長したと聞きました。どこが成長したと思いますか?

平下 1年の最初に比べてコミュニケーションが取れるようになって、先輩とも後輩ともすごくしゃべりやすくなりました。トレーニングで身体が強くなったから、コンタクトにも強くなってシュートの成功率も上がってきたと思います。

江村 中学校の時まではセンターがいないバスケをしていたんですけど、高校に入ってセンターに入れるパスとか、ドライブからの合わせができるようになりました。入ったばかりの頃はコミュニケーションが全然取れてなかったんですけど、最近は取れるようになりました(笑)。

坂本 1年や2年の時は試合に出てもあまり積極的に攻めず、点数も取ってなかったんですけど、3年生になって大事な時の1本で積極的に攻めたり、自分の得意なドライブで点数を取る機会が増えました。でもオフェンスはちょっと苦手なので、ディフェンスから流れをつかみたいと1年の時からずっとやってきました。それで最近、ディフェンスでも成長できたと感じています。チームとしては昔から1対1や個人技でやる部分が多かったんですけど、最近はドライブからの合わせのパスとか、1対1ではなく5人で攻めることができるようになってきて、ディフェンスでも1人が抜かれてもカバーがいたり、チーム全員で戦えています。そこはコミュニケーションが良くなって、チームが一つになったと感じます。

桜花学園

平下「当たり前のことをもっと当たり前にやる」

──将来の目標、あこがれている選手、ライバルを教えてください。

平下 将来の夢は実業団に入って活躍することです。目標にしている選手はあまりいないです。試合は見ているんですけど、あまりいません。ライバルは安城学園の野口さくらさんで、負けたくない選手です。プレースタイルがオールラウンドで似ているし、安城学園のエースなのでディフェンスで点を取られたら負けてしまうので、そこのマッチアップで抑えて、自分が点を取れるようにしたいです。

江村 5人制でオリンピックに出ることが目標です。目標としている選手はカイリー・アービングです。カイリーのドリブルが好きだし、カイリーみたいにターンオーバーがない選手になりたいです。

坂本 将来の夢は実業団に入って活躍することです。オリンピックにも出たいです。すごいと思う選手はいっぱいいます。最近じゃないんですけど、聖カタリナ学園のゲームをよく見ます。宮崎早織さん(JX-ENEOSサンフラワーズ)や曽我部奈央さん(富士通レッドウェーブ)が高校生だった頃のプレーがすごく好きです。3ポイントシュートもドライブも大事なところで絶対に決めるし、小さいチームがディフェンスで相手を苦しめるところが好きで、よく見ています。

──アンダーカテゴリーの日本代表で得られたことを教えてください。

平下 海外の選手と戦って、まず自分の身体が弱いことが分かりました。ドライブに行っても弾き飛ばされるし、リバウンドに行っても全然取れないし。その課題が分かって桜花ではトレーニングを頑張ろうと思いました。海外だと相手が自分よりはるかに大きいから、ボックスアウトしてもゴール下で押し込まれて取られてしまうので、日本でやっていることをもっと徹底してやらないと勝てません。当たり前のことをもっと当たり前にやるという意識を持っています。

坂本 海外は大きくて身体が強い選手が多いのですが、逆に自分のスピードが通用した部分があったので、1対1で相手を抜いてシュートを決める部分で自信になりました。でもそこはスピードだけじゃなくて、当たりの強さもつけないといけないなと思いました。

江村 海外の選手との対戦もそうですが、代表での練習が刺激になります。日本の選手はスピードがあるので、代表の時の練習でも京都精華の高橋未来さんとかめっちゃ速いので、ワンアームじゃついていけないから、いつも1.5アームで。相手の特徴、スピードとかシュートの得意な場所に合わせて距離を変えることをいつも考えるようになりました。

桜花学園

坂本「始まった時から3冠しか考えていません」

──ウインターカップが近づいてきましたが、今はどういう練習に取り組んでいますか?

坂本 トーナメントも決まったので、当たるチームを想定して練習にしっかり取り組んでいます。先生が昨日言っていたのは、40分間走り続ける体力をつけないといけないということで、今は走り込みをやっています。

江村 全部負けたくないし、桜花らしいプレーをしたいです。一番はディフェンスからのブレイクなので、ディフェンスをもっと極めて優勝目指して頑張っていきたいです。

──留学生のアマカ選手の存在は大きいと思います。

平下 まず高さが有利になったのが一番です。あとはインターハイの決勝でもアマカがリバウンドを20本以上取ってくれたし、相手がアマカを気にして中に寄るとアウトサイドが空いてドライブしやすくなり、自分たちの点が伸びたというのもあります。

──最後の年というのもありますが、後輩がいる中でやっているのはどうですか?

坂本 心強い下級生ばかりで不安はないです。3年生はメンバーに入ってなくても試合以外の部分、相手チームになりきって自分たちのために練習してくれたりサポートしてくれています。

──インターハイと国体で優勝しています。3冠のプレッシャーはありますか?

坂本 プレッシャーもあるんですけど、結構楽しみです。いろいろ準備をする中でチームの成長を感じているので。3回戦で当たるかもしれない浜松開誠館は新チームになってすぐの新人戦で負けた相手ですが、そこで弱気になるんじゃなく、自分たちのやることをやって勝ちたいです。多分みんなはそこまで緊張しないかもしれないけど私は緊張してしまうので、試合の入りを大切にして、自信を持ってプレーしたいです。

──ウインターカップ優勝へ向けた思いを聞かせてください。

平下 まずは絶対に優勝すること。下級生が多い中でも今まで通りコミュニケーションを取ってプレーします。絶対に遠慮せずに、自分がもっと点を取って頑張りたいと思います。

江村 パスから考えると調子が狂ってしまうので、まずはシュートを意識します。いつもパスミスをするのでターンオーバーをなくすことと、ディフェンスから流れを作りたいから相手のガードを止めたいです。3年生の最後の大会なので、優勝に少しでも貢献できるように頑張りたいと思います。

坂本 キャプテンだし3年生も少ないので、まず自分がしっかりしてチームを引っ張ってコミュニケーションを取って、下級生が遠慮しないようにチームをまとめていきます。自分も波があるので、強い気持ちを持って安定したプレーをすること。ディフェンスで相手にプレッシャーを掛けて桜花に良い流れを持ってこれるようにしたいです。始まった時から3冠しか考えていません。残すはウインターだけなので、今までやってきたことを全部出し切って絶対に優勝します。