[ウインターカップ・プレビュー]vol.9 興南(沖縄)井上公男監督「何としてでもセンターコートに出て勝たせてあげたい」

2016/12/20
プレーヤー
1884

文・写真=古後登志夫

3年ぶり12回目のウインターカップ出場を決めた沖縄県代表の興南高校。沖縄バスケット界の『英雄』である山城吉超(2014年に引退)を始め、現在Bリーグで活躍する上江田勇樹(千葉ジェッツ)、山内盛久(琉球)、さらには琉球ゴールデンキングスのヘッドコーチである伊佐勉を輩出した古豪だ。
監督を務める井上公男も興南高校のOB。大学と実業団を経て沖縄に戻り、2004年から母校の指揮を執っている。独特のバスケット文化が根付く沖縄のスタイルを武器に、全国の頂点を目指す。

沖縄にはストリートの文化が根付いている

──ウインターカップは3年ぶり12回目の出場となります。ご自身としては何度目ですか?

就任13年目で4回目ですね。

──沖縄出身で、興南高校のOBでもいらっしゃいます。大学進学のために東京に出られたんですよね。

はい、日本大学に進学しました。同級生には今の秋田ノーザンハピネッツの長谷川誠がいます。僕が3年生の時にインカレで優勝したのですが、その時の4年生が折茂武彦、まだレバンガ北海道で現役ですね。僕らが4年の代にはトーナメント、リーグ戦、インカレの3冠をやって、インカレは連覇したことになります。周りが良い選手ばかりなので、僕としては常に人の2倍も3倍も努力しなければならないと思ってワークアウトをやっていました。

──高校時代はいかがでしたか?

僕の代でインターハイで優勝しています。ウインターカップは12月になった最初の大会だと思いますが、当時は東京体育館ではなく代々木第二体育館でした。やっぱり『聖地』ですからね。12月の寒さの中、東京に行って代々木第二でバスケットがやれたのは良い思い出です。

──沖縄にはバスケット文化が根付いていて、独特な選手、独特なプレースタイルを輩出しているように思います。

米軍基地があってアメリカ人も多いので、バスケットのスタイルが身近です。東京だと駒沢公園のような大きな公園にしかリングがないですが、沖縄なら公園から公民館、広場があれば必ずリングがあります。近所のお兄ちゃんがそこでバスケットをしていて、小さな子供たちもその流れの輪に入って自然と1対1ができる。ストリートの文化ですよね。

ミニバスでやるような基礎も大切ですが、沖縄の子供はイマジネーションや発想力からバスケに入ります。それが沖縄では普通なんです。そのリズムが沖縄のバスケットには根付いていて、それをベースにスキルを使った駆け引きが出てくるのだと思います。

──そんな環境で育まれた『沖縄のバスケット』はどんなものでしょうか。

スピードですね。ハーフコートになってもスピードが落ちないのが沖縄のリズムだと思います。動くことで相手のディフェンスを動かしながら1対1の隙を狙っていく。それが沖縄のバスケット特有のリズムに繋がっていくと思います。

『沖縄のバスケットスタイル』というものは絶対にあります。Bリーグができた今、沖縄の子供たちがそのトップレベルでやるということに関して言えば、基礎やチームプレー、監督と選手の間柄、という基本を僕が教えていきたいと思います。

1対1を仕掛けながら全員が合わせのプレーを狙います

──ウインターカップが近づいてきました。興南高校のプレースタイルを教えてください。

全国的には小さいので、バックコートからディフェンスを頑張って、フロントコートに入るまでにいかに時間をかけさせるか、というところ。留学生の選手を擁するチームに対し、インサイドにボールを入れられないような守備から、得意のブレイクを展開していきたいです。そこは沖縄のバスケットスタイルで、1対1を仕掛けながら全員が合わせのプレーを狙います。

──大会に向けて、どこに重点を置いて練習をしていますか?

やはり高さがない分、ディフェンスのハードさが大事なので、フィジカル的なトレーニングで当たり負けしない身体を作っています。ディフェンスのプレッシャーをさらに強めて、リングの遠いところから相手のボールを奪う守りです。そこからオフェンスにつなげるというところを中心にやっています。

──注目選手を挙げてください。

3年生は島尻玲央、オールラウンドなプレーができる彼を中心に考えています。シュートだけじゃなく、ディフェンスとオフェンスの予測、相手を読む力がチームの流れになります。彼だけがオールラウンドにプレーするのではなくて、彼がオールラウンドに動くことがチーム全体の機動力にすごくプラスになるのが魅力です。

2年生だと平良陽汰。トリッキーな流れの、リズムの良いバスケットをします。まだ若いので、切り込み隊長として勢いのあるプレーをやってもらえば。この2人が今年は勢いをつけてくれたらと考えています。

──大会に向けた抱負をお願いします。

3年ぶりの出場なので、3年生の選手にとっては1年生から目標としていたウィンターカップに、最後のチャンスで出場権を勝ち取ったことになります。みんな最後はセンターコートで戦いたいという気持ちが強いので、何としてでもセンターコートに出させてあげて、勝って終わることが目標になります。ベスト8、そこまで来たら全国制覇を目標に頑張って戦いたいと思います。