最終クォーター、ムスタファの高さが勝敗を分ける
ウインターカップ福岡県大会決勝で福岡第一と福岡大学附属大濠が激突した。
先手を取ったのはインターハイを制した第一だった。ゾーンディフェンスの大濠に対し、轟琉維がディープスリーを沈め、ドライブでもスコアしたことでゾーンを攻略。さらに前線からの激しいプレッシャーディフェンスで何度もターンオーバーを誘発し、イージーレイアップに繋げていった。ハーフコートでも素早いローテーションでノーマークを作らせず、200cmのニャン・アマドゥ・マクターがリムプロテクターとして機能。こうしてトランジションから何度も速攻を成功させるなど、お家芸である『堅守速攻』を体現した第一がいきなり2桁のリードを奪った。
第2クォーターに入ると、徐々にゾーンディフェンスが機能していった大濠のペースに。高身長のメンバー全員が両手を広げることでパスコースを極限まで狭め、軽快なフットワークでドライブにも食らいつき失点を防いだ。そして、ディフェンスからリズムをつかんだことで第一を彷彿とさせるトランジションオフェンスを展開。湧川颯斗、広瀬洸生の速攻で同点に追いついた。
後半序盤はリードチェンジを繰り返したが、ディフェンスの圧力で上回った第一が再び主導権を握った。強烈なプレッシャーをかけてバックコートでスティールし、連続でイージーレイアップに繋げると、210cmのムスタファ・ンバアイがセカンドチャンスポイントを獲得し6-0のランで流れをつかんだ。
大濠はタイムアウトを要求し悪い流れを切ろうとしたが、直後に城戸賢心に3ポイントシュートを射抜かれてしまう。さらにエースの湧川が足を痛め、強気なアタックでチームを救ってきた広瀬も足をつり、主力の2人がベンチに下がることを余儀なくされたことで56-68と再び2桁のビハインドを背負って第3クォーターを終えた。
その後、湧川と広瀬がコートに戻ると、副島成翔が身体を張ってドライブスペースを作り、川島のリムアタックなどで追撃したが、大濠の前にムスタファが立ちはだかった。
ムスタファは大濠のビッグマンがシュートチェックに行き、手薄になったゴール下を制圧。何度もオフェンスリバウンドを奪うとファウルを受けながらシュートを押し込み、連続でセカンドチャンスポイントを獲得した。さらにディフェンスでもシュートブロックを連発し、『高さ』の不利を一人で埋めていった。残り3分を切った場面では、轟のシュートミスをプットバックダンクで押し込み、会場を盛り上げた。こうして、セカンドチャンスポイントで2桁前後のリードを保ち続けた第一が最終スコア83-76で勝利し、ウインターカップのシード権を獲得した。