平岡倖汰&轟琉維

福岡第一は今夏のインターハイで全国優勝を成し遂げたが、いまだ勝利に飢えている。高校バスケ最後の大会となるウインターカップの前に、彼らには県内のライバルである福岡大学附属大濠との決戦が控えており、すでに気持ちはクライマックス。1年生の頃から主力として活躍する轟琉維が最上級生となり、名実ともにエースとなった。インターハイからスタメンに定着した平岡倖汰は常に全力で走って泥臭く身体を張り、轟とはまた違う意味で福岡第一のバスケを体現するウイングだ。高校バスケ最後の時期を士気高く迎える2人に、意気込みを聞いた。

「自分にできることを一生懸命に、いつも通りに」

──平岡選手は『バスケット・カウント』初登場となりますので、自己紹介からお願いします。轟選手には、オンコートとオフコートの平岡選手がどんな人かを教えてもらいたいです。

平岡 西福岡中学出身、37番の平岡倖汰です。リバウンドとかルーズボールとか走って点を取るとか、そういう泥臭いプレーが得意です。

轟 ディフェンスで身体を張って大きい相手からチャージングを取ったり、泥臭いプレーにすごく頑張ってくれるプレーヤーです。普段は結構ボケてます。天然ボケじゃなく狙ってボケるタイプです。

平岡 みんなを楽しませようと泥臭く頑張ってボケています(笑)。

──中学時代は西福岡中と三陽中でライバルだった2人ですが、お互いをどのように見ていて、同じチームになってどう思いましたか?

平岡 中学の時から「こいつ、ヤベーな」と思っていました。中学時代は勝ったり負けたり競っていたんですけど、轟は実際プレーがヤバかったので。そんな選手と高校で一緒にプレーできるのはうれしかったです。

轟 平岡はジャンプシュートが上手くて、しかも中学の時から結構走っているイメージがあったので、福岡第一のバスケに合っていると思いました。今まで敵として対戦すると厄介だった分、同じチームになれてワクワクしました。

──轟選手は河村勇輝選手の卒業と入れ替わりで福岡第一に入り、1年生からガードとして試合に出ていました。周囲からは『河村の後継者』と見られましたが、プレッシャーには感じませんか?

轟 河村選手と比べられるプレッシャーは最初こそ少しあったんですけど、今はそんなに感じません。プレッシャーがないわけじゃないですけど、今はそれを良い意味で楽しみむたいな感じでやれています。ウインターカップでベスト4まで行ったことで、自分のプレーに自信を持てるようになったんだと思います。

──平岡選手は3年生になって主力になっています。同級生の轟選手の活躍に焦る気持ちはありましたか? それとも追いつけ追い越せの気持ちでモチベーションになりましたか?

平岡 轟はさすがだなと思う部分もあったんですけど、同級生なので自分も頑張らなきゃいけないという気持ちが強かったです。自分にチャンスが回ってきた時に、自分にできることを一生懸命、いつも通りにやろうとする気持ちで頑張ってきました。今年は春先に腕をケガして、インターハイでチームは優勝できたんですけど、自分としてはケガ明けで何もできずに悔しい思いをしてきたので、今はもっともっと頑張らなきゃという気持ちでやっています。

──同級生の頑張りを轟選手はどのように見ていますか?

平岡がスタートになってくれたことでバスケの展開が速くなりました。ルーズボールに頑張ってくれたり、平岡のプレーでチームがすごく良い雰囲気になっているので、スタートになってくれて良かったと思います。

轟琉維

「今のレベルのままじゃダメだとすごく思いました」

──福岡第一のバスケ部は100人を超える大所帯です。3年生になると、これだけの部員をまとめるのが大変なのでは?

轟 人数が多いので試合になるとチーム一丸となって、盛り上がる時はすごく盛り上がって力になるんですけど、練習の時にまとめる難しさはあります。でも、まとめるのはみんなが手伝ってくれるし、特に川端(悠稀)や中村(千颯)が声がけをすごくやってくれるので助かっています。

平岡 轟も言ったように、試合になったら大人数がチーム一丸になってすごい力になります。でも練習では人数が多くてまとめる難しさがあるし、その人数に埋もれないように自分のできること、立ち位置をしっかり確立させないといけないと思います。バスケ以外の部分でも、自分も下級生に声をかけたり、寮や学校の通りがかりにボケて絡んだりして、そういうことで少しでもチームとして一つにまとまれたらいいなと思っています。

──轟選手はこの夏、日本代表の一員としてU18アジア選手権を戦いました。良い経験ができたし、収穫も課題も多かったと思います。

轟 反省の方が多かったです。ガードとしてパスミスが多くて、ゲームコントロールがちゃんとできなくて負けた試合もあったので。アジア選手権ではゴール下で簡単にブロックされたり、ドライブで1人抜いても次のパスがさばけなかったりしたので、今のレベルのままじゃダメだとすごく思いました。日本に帰って来て、練習中からその状況をイメージして、どうやったらパスが通るのか、どうやったらシュートが打てるのかを工夫しています。

──平岡選手から見て、この夏の代表活動によって轟選手の変化はありましたか?

平岡 帰って来たら、やっぱり周りのみんなとは雰囲気が違うと思いました。一番の変化は、自分のプレーじゃなくて「どうすればチームが勝てるか」をすごく意識するようになったことだと思います。

──かつて河村選手は日本代表を経験した後、福岡第一でも代表のウェアを着て練習をしていて、井手口孝コーチにすごく怒られたそうです。轟選手は「ちょっと調子に乗る」ようなことはありませんでしたか?

轟 代表のウェアはこっちでは着ていないです。そのエピソードは聞いていたので(笑)。

平岡倖汰

「インターハイ王者というプライドを持って頑張りたい」

──11月3日にはウインターカップ予選の最終戦で福岡大学附属大濠と対戦します。福岡県には出場権が3枠あるので本大会出場は間違いないと思いますが、福岡第一にとっては絶対負けられない戦いでもあります。意気込みを教えてください。

轟 11月3日が福岡で最後の試合になるので、3年間のいろんな思いを込めることになります。もちろん1位通過しないと意味がないと思っているので、そこはすごく気持ちを入れて絶対優勝したいです。今はジャンプシュートの調子がいまいちなので、もっと確実に決められるよう練習して臨みます。

平岡 ディフェンスでチームに貢献できると思っているので、そこは今まで以上に頑張るつもりです。ウインターカップには福岡県1位で出場したいし、インターハイ王者というプライドを持って頑張りたいです。

──お互いのどんなプレーに期待しますか?

轟 大濠さんはデカいので、平岡にはボックスアウトだったり身体を張る部分で頑張ってもらって、ブレイクだけで20点ぐらい取ってほしいです。

平岡 それはプレッシャーだけど、頑張ります(笑)。轟はウチのエースなので、オフェンスでもディフェンスでも大活躍して最低でも30点は取ってほしいです。

轟 エースの自覚はしっかり持ちたいです。去年からスタートで出させてもらっているので、チームを勝利に導くプレーができるようにしっかり頑張ります。

──ウインターカップではもちろん優勝を目指すと思いますが、高校バスケの最後はどんな内容で、どんな姿で締めくくりたいですか?

轟 高校生代表としてあるべき姿があると思うので、まずそういうところからしっかりやりたいです。バスケの面では福岡第一らしく、堅い守りから速攻に繋げるバスケをやっていきたいです。

平岡 僕は今年のインターハイが初めてのスタメンで、その時は「なんで自分なんだろう?」と思っちゃったんですけど、選ばれたからにはチームの代表の一人だと思って頑張った結果、優勝できました。それを今回に繋げたいと思います。

轟 去年のウインターカップでは準決勝で帝京長岡に負けたんですが、自分はその負けがあったからこそ成長できたと思っています。自分のターンオーバーもシュートミスも多くて、それで逆転されて負けた試合だったので、その悔しさが成長の糧になりました。今回は絶対に優勝して終わりたいです。