攻守両面でインサイドを支え、渡邊不在をカバー
「(渡邊)雄太の負傷はチームにとってかなり痛手でしたが、自分のできること、役割をしっかりやってステップアップしたいと思ったことが昨日の勝利に繋がったと思います」。そう語ったのは、快勝を収めたフィリピン戦で出色の出来を見せたルーク・エヴァンスだ。
アジアカップのベスト8進出をかけた大事な一戦で、エヴァンスは17得点7リバウンド2アシストを記録。特筆すべきは66.7%と高確率だったフィールドゴール成功率で、ショットクロックが残りわずかのタフショットも決め切り確実にペイントエリアで得点を重ねた。インサイドでの得点が伸びなければ、外一辺倒になってしまうが、エヴァンスが奮闘したことでオフェンスのバランスが保たれた。また、渡邊が負傷離脱したためインサイドは手薄となったが、フィリピンとのフィジカルなバトルに真っ向から立ち向かい、ゴール下を死守した。
エヴァンスは「昨日のパフォーマンスはすごくうれしかった」と、自身のプレーを素直に喜んだが、「フィリピンに勝つことが最後のゴールではないですし、次は強豪のオーストラリアが待っているので引き続き頑張りたい」と、浮かれることなくすぐに戦闘態勢へと切り替えた。
フィリピン戦で足を捻った渡邊は、オーストラリア戦の出場は難しいと見られている。純粋な1対1の強さや高さだけではなく、渡邊がヘルプに目を光らせていることで相手が攻めあぐねるシーンがあるなど、彼の不在が与える影響は計り知れない。エヴァンスも「雄太がいないのはかなり痛手ですし、プレーできると願っている」と、祈る思いだ。
それでも、エヴァンスは指揮官トム・ホーバスの言葉を引用し、覚悟を持ってオーストラリア戦に臨むつもりだ。「昨日の試合後のロッカールームで、トムは『誰かを失った時、誰か一人がすべてを背負うのではなく、一人ひとりがステップアップしてそれをカバーするのがチーム』と言っていました。もし彼がプレーができない場合、僕もそこを頑張っていきたい」
たとえ、一人が200%の力を発揮したとしても、それがそのままスコアに反映されないのがバスケットボールであり、チームスポーツだ。また、一人で打開しようとすればするほど、不協和音は生まれる。ここまで精度を高めてきたチームバスケットでアップセットに期待したい。