「代表でもやることはあまり変わらない」
西野曜は3人制バスケ『3×3』や世代別の代表に選ばれ続けてきた逸材だ。それでも、「一番最後に選ばれたのが学生の時で、それ以来ずっと3×3でやってきました。5人制でこのNTC(ナショナルトレーニングセンター)に来るのが本当に久しぶりなのでフレッシュな気持ちです」と語るように、5人制での合宿参加に心を弾ませている。
西野は199cmの長身ながら軽快なフットワークを持ち、外からも中からも攻められるオールラウンダーだ。所属するサンロッカーズ渋谷でもその万能性を生かしているが、それは代表でも変わらない。「渋谷では3、4番をやらせてもらっていますが、4番で出た場合はスピードのミスマッチを生かして攻めていて、3番で出た場合は基本ミスマッチになるので、ポストプレーやオフェンスリバウンドに絡みに行っています。代表でもやることはあまり変わらないと自分の中では思っています」
SR渋谷は前線から当たるハードなディフェンスを大事にしているチームだが、トム・ホーバスヘッドコーチが目指す代表のスタイルもそれは同じだ。それでも、細かいルールの違いはもちろんある。そして、西野はその違いを楽しみながら攻守ともにアジャストしようとしている。「渋谷はスイッチを簡単にしちゃいけないルールなんですが、トムヘッドコーチはタイトについていればスイッチはOKなんです。今までにやったことがなく、自分の中では新しいことです。オフェンスは割と自由にやっていいと言っていたので、そこは様子を見ながら。ポジションレスと言っていたので、3番と4番ができるという点を生かせるんじゃないかと思っています」
このように新たなスタイルへのフィットに自信をのぞかせる西野は「自分のベストを出して選考してもらえるように」と意欲的な姿勢を崩さない。「いろいろな考え方がある中で、トムヘッドコーチの考え方にどれだけ早く適応して、コートで表現できるかが大事だと思っています。トムヘッドコーチも、各選手に強みがあるからそれを出さなきゃいけないとずっと言っています。オフボールのバックカットだったり、要所で3ポイントシュートを狙って行けたら、自分らしさが出せるんじゃないかなと思っています」
ホーバスヘッドコーチは「このメンバーは経験を積めばA代表のチャンスもあります」と発言し、若手の底上げを求めている。フリオ・ラマス前体制では高さを重視した選手選考がなされたが、現在は高さの縛りはないと言える。それでも、常に高さの不利を覆せずにいた日本にとって、199cmの長身ながら内外でプレーできる西野は無視できない存在だ。ホーバスコーチが言うチャンスを最初につかむのは西野なのかもしれない。