
チームは休養十分、OG・アヌノビーも復帰の見込み
ピストンズとキャバリアーズのシリーズは『GAME7』に持ち越されることになった。ニックスはホークスとのファーストラウンドの出だしこそ1勝2敗とつまづいたものの、そこから3連勝でホークスを撃破すると、セブンティシクサーズとのセカンドラウンドはスウィープ(4勝0敗)で早々に片付けた。今はカンファレンスファイナルにどちらが勝ち上がってくるかを待っている。
プレーオフ最初の3試合はジェイレン・ブランソンに依存しすぎて攻撃が停滞する悪癖が出た。そこでカール・アンソニー・タウンズのプレーメークを増やす調整を行い、レギュラーシーズンで3.0だったタウンズのアシストが、ホークスとの第4戦以降の7連勝において8.0と急伸することに。ブランソンはプレーメークの負担が減ったことで終盤までスタミナが続き、得点はシーズン平均の26.0から27.4へと増えている。
さらにはトム・シボドーからマイク・ブラウンへのヘッドコーチ交代で最も求められたベンチメンバーの活用も、レギュラーシーズンの積み上げが生きる形で、もともとプレータイムの多いミッチェル・ロビンソンとマイルズ・マクブライドはもちろん、ランドリー・シャメットやジョーダン・クラークソンまで見せ場を作っている。ブランソン依存と層の薄さ、2つの弱点を克服してのカンファレンスファイナル進出とあって、チームの雰囲気が良いのは当然だ。
チーム好調の中心となっているタウンズは、「ホークスに1勝2敗と逆転されて、次の第4戦がものすごく大事なのは分かっていたから自分のアイデアを伝えた。それが受け入れられ、これだけプレーメークの役割が増えるとは予想していなかったけど、僕は昔からパスを出すのが好きだし、ずっとやりたいと思っていた。新しい役割をこなすことでチームが勝てているのはうれしいし、自分の才能を生かせていると感じている」と語る。
プレーオフの最中に選手の意見を取り入れて戦術を大きく変えるのは、シボドーだったらやらなかっただろう。それはブラウンが柔軟な考えを持つコーチだからだが、思い付きで賭けに出たわけでもない。オフェンスの導入をブランソンに託し、すぐに打開できないようならショットクロックがなくなる前にタウンズにボールを預ける。このアイデア自体は以前からあったと指揮官ブラウンは言う。
「私は誰からの提案も聞くようにしている。聞くだけなら簡単だし、決めるのもそれほど難しくはないが、提案をチームにフィットさせる形にするのが難しい。単なるアイデアではなく、映像やデータの裏付けが必要だ。KAT(タウンズ)の考えを聞いて、ブランソンやOG(アヌノビー)の意見も求め、スタッフ全員の声を聞いた。その上で私が最終的にやると決めた。ホークスに連敗したから打開策を選手に求めたわけじゃない。私はいつ、誰の意見も聞く。でも、すべての提案を採用するわけにはいかない」
KATにより多くのボールを預けて、ポストからパスをさばいてチャンスを作る。キングスを率いていた時期にドマンタス・サボニスがやっていたプレーであり、そこに周囲の選手がどう合わせれば良いかをブラウンは熟知していた。
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— NEW YORK KNICKS (@nyknicks) May 10, 2026
14 PTS for cap pic.twitter.com/H8bgxxfUlj
戦術変更に選手もよく応えたが、マクブライドは「レギュラーシーズンにやっていたことの延長線上にあるプレーであって、全く新しいことにトライしているわけじゃない。それでも重視すべき点を明確にしたことで、自然に移行できたのはコーチ陣のおかげだ」と語る。
カンファレンスファイナルの対戦相手が決まらず、試合間隔が空くことで、身体は癒やせるが実戦のリズムを保つのは難しい。ジョシュ・ハートは「ファーストラウンドが終わった時は4日間空いた。それぐらいがちょうど良かった。他の試合をテレビで見ていると『待ちきれない』という気分になるし、正直に言えば休暇のことを考えてしまう瞬間もあるよ(笑)」と言う。
「でも、休暇の準備は妻に任せて、メンタルはカンファレンスファイナルに留めておかなきゃいけない。これだけ待たされると難しいからこそ、チームメートとは常にコミュニケーションを取り合って、全員が目の前の課題に集中している」
それでも、試合間隔が空くことで大きなメリットもある。シクサーズとのセカンドラウンド第2戦で右足ハムストリングを痛めて離脱したアヌノビーの復帰だ。すでに練習のすべてをこなしており、「明日にでもプレーできる」と語った。
アヌノビーの万能のディフェンスは、プレーオフで特に効力を発揮する。ハムストリングは爆発的な運動量を誇る彼が何度も痛めている古傷だが、今回は軽傷で済んだし、余裕を持って調整できている。次の対戦相手がどちらになろうとも、アヌノビーの復帰はニックスにさらなる勢いを与えるはずだ。