「ロスに出たいという気持ちは人一倍強い」

5月16日に行われた、ラトビアとの国際強化試合初戦は結果だけを見れば98-73と日本の快勝だった。

しかし、効果的だったハイプレッシャーディフェンスは諸刃の剣となり、ファウルがかさんだことで第1クォーターだけで10本ものフリースローを与えてしまった。その結果、序盤に2桁のリードを築くも追いつかれ、第2クォーター早々に逆転を許した。

チーム全体に硬さが見られる中、停滞した空気を一変させたのが、久しぶりに日の丸を背負った星杏璃だった。星は日本にとって初めてとなる、トランジションスリーを成功させて勢いづかせると、このクォーターだけで合計3本の3ポイントシュートを射抜き、30-12のビッグクォーターを作る原動力となった。第3クォーターには0-13のランを許したこともあり、この第2クォーターの攻防が勝敗の分かれ目でだった。

第1クォーターの途中からコートに入った星は、当時をこう振り返る。「最初は緊張していて、身体もすごく硬かった感覚があって。第1クォーターに出た時に3ポイントを何本か打ったのですが、ちょっと入らなくて感覚的にも少し悪いかなと思っていました」

しかし、ここで崩れないのが星の真骨頂であり、シューターとしてのプライドだ。入らないからと躊躇するのではなく、むしろ自らの役割を再確認した。「もうシューターとして、良いボールが飛んできたら全部打つというのは決めていました。それを2クォーターからしっかり切り替えて、仕事ができたと思います」

星はパリオリンピック最終予選の直前に左膝前十字靭帯を断裂。ヨーロッパで大会最後の調整を行っていた練習試合で大ケガを負い、失意の帰国を余儀なくされた。そのケガがなければパリオリンピックにも出場していたはずだった。今月の9日に26歳になった星はチームでの立ち位置を冷静に理解しつつ、代表への思いを語った。

「自分の年代は若手でもないしベテランでもないっていう立場で、すごく難しいです。新しい若い子をどんどん使うのも、コーリー(ゲインズHC)さんのバスケなので、そこで埋もれては残っていけないと思っています。確かにベテランではないですけど、チームを引っ張っていくことを意識して、自分が活躍する気持ちでやっています。ワールドカップ予選トーナメントで自分は外されてしまって、本当に悔しかったです。ロスに出たいという気持ちは、人一倍強いと思っているので、見返してやりたいっていう気持ちはあります」

こうした強い気持ちで再び日の丸を背負ってプレーした星。ともにチームハイとなる4本の3ポイントシュートを含む14得点を挙げ、ゲームチェンジャーとなったが、「まだまだですね」と、上を目指し続ける。

「あそこでしっかり連続で決めれたことは、自信を持っていいかなと思うのですが、シューターとして、打った本数の8割は決めたいと思っています。途中から出てた分、もっと攻撃的なディフェンスをしたり、オフェンスでも走ったり、もっとアグレッシブにできると思っています」

この初戦は日本の生命線がトランジションであることをあらためて思わせる結果に。それと同時に、日本の強みを最大化する上で星の存在は欠かせないことが明らかになった瞬間だった。