
カワイ・レナードの得点が結果的にゲームウィナーに
現地3月27日、ペイサーズはクリッパーズを相手に第1クォーターを42-21と圧倒し、第2クォーター開始2分で最大24点のリードを奪った。そこから次第に差を詰められ、第4クォーターには1ポゼッション差の接戦となったが、何とかリードを保って終盤を迎えていた。
しかし、5点リードの残り1分からクリッパーズはカワイ・レナードのフローターとダリアス・ガーランドのフリースローで1点差に迫り、パスカル・シアカムを囲い込んでタフショットを打たせて守りきると、残り3秒で取ったタイムアウトでカワイに打たせるプレーをデザイン。ブルック・ロペスのスクリーンを受けてフリーになったカワイのジャンプシュートで、残り0.4秒で114-113と逆転に成功した。
だが、試合はここで終わらない。ペイサーズはファウルゲームを仕掛け、ベネディクト・マサリン(2月にトレードされて、初めての古巣対決だった)がフリースロー2本を外す。残り0.1秒で得た最後のチャンスで、アンドリュー・ネムハードが『ヘイル・メアリー』のパスをリムに向かって投げると、タップで押し込もうとしたジェイ・ハフがロペスに押されてフリースロー2本を得た。
2本決めれば逆転というシーンで、ハフはまさかの2本とも失敗。インディアナのファンは奇跡の逆転勝利の予感に大興奮していたが、試合終了のブザーとともに会場はため息に包まれた。
タンキングの是非が議論される今、この試合の最後は「ハフはわざとフリースローを失敗したのではないか」と言われるだろう。しかし、試合終了直後のハフは憔悴しきっており、チームメートが次々とその肩を抱いて励まさなければいけなかった。クリッパーズのベテラン、ニコラス・バトゥームもわざわざ彼のところに駆け寄り、励ましの言葉を掛けた。
アーロン・ネスミスは「キツいのは理解できるから、彼には言葉を掛けたよ。ずっとベンチに座っていて、いきなりあの状況でプレーすることになり、リズムのないままプレッシャーの掛かるフリースローを打つんだ。絶対に簡単じゃないよ」とハフを擁護した。「彼には『次に決めればいいさ』と言ったよ。また同じような場面はくる。そこで決めてくれればいいんだ」
Pacers’ Jay Huff is fouled with 0.1 left, down one to the Clippers.
Misses both free throws … and that’s the game. pic.twitter.com/CNmhiy7WIC
— NBA on ESPN (@ESPNNBA) March 28, 2026
ハフは先発センターだが、オビ・トッピンがケガから復帰した後はプレータイムをシェアしており、この試合の第4クォーターでは残り3秒まで出番がなく、あとはチームメートに託したつもりだったのだろう。それでも最後の最後でリバウンド要員として投入され、勝敗の懸かったフリースローを打つことになってしまった。
ヘッドコーチのリック・カーライルも「1点差の残り0.1秒でフリースローラインに立つ、ジェイはNBAでそんな経験をしたことがない。ここから学ぶしかない」と語る。「試合が終わってすぐジェイとは話をした。『このリーグに42年いる人間としてのアドバイスは、1時間だけ落ち込んで、あとは忘れてしまえ』と伝えたよ。幸いなことに、今の我々はプレーオフに向けた順位争いの真っただ中にいるわけじゃない。こうした経験からの学びを吸収できる過程にある」
ファンの中には今回の負け方を「タンキングのために上手く負けた」と見る者もいるだろう。しかし、ペイサーズは16勝58敗のリーグ最下位で、もはやボトム4は安泰というポジションにいる。タイリース・ハリバートンは今シーズン全休が決まっており、2月に加入したイビチャ・ズバッツももう出場しないが、指揮官カーライルはこの2人を除けばベストメンバーをコートに送り出している。
「この時期にはプレーオフに似た試合を経験できる。実際、ここ数試合はそういう雰囲気の戦いになった。スパーズ相手には全く何もさせてもらえず惨敗したが、マジック戦では立て直して勝つことができた。あの試合での戦いぶりは素晴らしかった。残り8試合も、『意味のある試合を戦う』という感覚を追い求めたい。次はヒート戦だが、相手は必死で戦ってくるだろう。ティップオフの瞬間から、それに負けない準備が必要だ。今日のようにね」
シアカムはチームリーダーとしての成長を見せ、ネスミスはシュートスランプから脱して自信を取り戻し、トッピンは長いケガを乗り越えて実戦のリズムをつかみつつある。ジャレス・ウォーカーはこの試合で脳震盪の疑いですぐに退いたが、マサリンに代わるスモールフォワードとして飛躍のシーズンを送っている。NBAファイナルからリーグ最下位へと転落する『悲劇』を味わいながらも、来シーズンの復活に向けてチームは着実に前進している。