『恩師』のカリーと対戦「最高に楽しかった」
現地10月30日のバックスvsウォリアーズは、試合開始の1時間前にヤニス・アデトクンボがヒザの痛みで欠場することが決まった。開幕から4試合で36.3得点と好調のアデトクンボの欠場は大きな戦力ダウンで、ポイントガードのケビン・ポーターJr.も足首のケガで欠場が続いている。
それでもバックスは第1クォーターで34-25と快調なスタートを切った。チームを引っ張ったのは4年目の23歳、ライアン・ロリンズだ。3年目の昨シーズンに初めてローテーションに定着し、控えポイントガードとして56試合に出場したロリンズは、ポーターJr.の欠場を受けて先発ポイントガードを任されている。
2日前のニックス戦でキャリアハイの25得点を挙げた好調をこの試合にも持ち込んだロリンズは、第1クォーターから9得点をマーク。ディフェンスでもステフィン・カリーをフェイスガードしてウォリアーズのオフェンスから切り離し、第1クォーターをフリースローによる3得点のみに抑え込んだ。
その後はウォリアーズも立て直して競った展開に。第4クォーターに入ると、カリーもジミー・バトラーもギアを上げて、エース不在のバックスを攻め立てるのだが、ロリンズの粘り強いマークは終始カリーを苦しめた。そしてバックスは速い展開からボールを持った選手がアグレッシブに仕掛ける攻めで、ウォリアーズに劣らぬペースで得点を重ねていく。
残り4分、カリーの3ポイントシュートで2点差とされるが、その直後にロリンズがステップバックスリーを決め返す。その後もアル・ホーフォードをスピードで振り回してのプルアップ、最後はバトラーのシュートチェックをモノともせず3ポイントシュートを沈めて、混戦に決着をつけた。
ディフェンスでの奮闘も光った。残り5分にカリーに激しくバンプした次のポゼッションで、ドレイモンド・グリーンが『報復』のハードファウルを仕掛けてきた。ロリンズはこれに吹き飛ばされながらも、闘志を失うことなく、また相手や審判に意識を向けることなくプレーに集中し続けた。
「僕がステフ(カリー)に激しくいったから、彼らは当然やってくる。予想はできていたし、テンションを上げてくれるからむしろ好きだよ。そこで沸き上がったエネルギーを、オフェンスであれディフェンスであれ次のプレーにぶつけることができた」とロリンズは言う。
This Ryan Rollins stepback triple 😮💨
A new career-high (32 PTS) as he seals the Bucks' home win vs. the Warriors! pic.twitter.com/TgRbuPBe6r
— NBA (@NBA) October 31, 2025
試合は120-110でバックスの快勝に終わった。ロリンズは2日前に記録したキャリアハイを大きく更新する32得点、さらには8アシストを記録。「ただアグレッシブにプレーすればシュートチャンスは自然と訪れる。そこで躊躇せずに自分のシュートを打っただけ」と彼は言う。
このロリンズの活躍には、ウォリアーズの指揮官スティーブ・カーも脱帽だった。「彼のスピードは厄介だった。ペネトレーションからのリムアタックかシューターへのキックアウト。素晴らしい活躍だった。相手のスモールラインナップにオールスイッチで対応しようとしたが、機能しなかった」
これまで目立たなかったロリンズの突然の大活躍に、バックスのファンも驚き、興奮しているが、カーを始めウォリアーズの選手たちはそのポテンシャルを理解していた。ロリンズのNBAキャリアのスタートは2022-23シーズンのウォリアーズだったからだ。
ホークスから2巡目指名されたが、契約したのはウォリアーズ。そこでデビューを飾ったものの、12試合合計で62分プレーしただけで翌年オフにトレードされた。ロリンズにとってこの試合での活躍は『恩返し』だったわけだ。
試合後にはカリーからサイン入りのユニフォームをプレゼントされたという。試合ではバチバチにぶつかり合っていたが、今でもロリンズにとってカリーはあこがれの存在であり、NBAキャリアで最初の師匠だ。
「僕とステフはロッカールームで隣同士だった。あれだけのスター選手でも偉ぶることなく、普通に僕に話し掛けてくれた。環境の変化についていくのに必死だった僕にとって、それがどれだけありがたかったか。彼のユニフォームをもらえてうれしいよ。家に帰ったら飾るつもりだ」
そしてロリンズはこう続ける。「ステフとの対戦は最高に楽しかった。彼に勝てるとは言えないけど、対戦できるだけで楽しい。ルーキーイヤーには練習場でマッチアップしていたけど、今こうして実際の試合で彼とぶつかり合うことができる。しかも素晴らしい試合をして勝てたのだから最高に楽しかったよ」
 
                                            
 
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                 
                 
                 
                