アーロン・ネスミス

バックコートにケガ人続出で本来のバスケができず

マイルズ・ターナーが退団を選び、タイリース・ハリバートンはNBAファイナルで負ったアキレス腱断裂による長期離脱中。躍進の主役だった2人を欠いたペイサーズは開幕から4連敗と苦戦が続いている。

現地10月29日のマーベリックス戦は、最大12点のビハインドを終盤に巻き返す粘りを見せたが、105-107で敗れた。ラストプレーは残り3.4秒でのレイジェイ・スミスのフリースロー。1本目を決めて2点差とした後、スミスは2本目をわざと外してセカンドチャンスに賭ける。ルーズボールを何とか繋いで外で待つアーロン・ネスミスへ。しかし、決まれば逆転の3ポイントシュートはリムに嫌われ、試合終了となった。

ネスミスが責任を感じるのは当然のこと。この試合での彼はフィールドゴール16本中2本成功と絶不調だった。しかし、指揮官リック・カーライルは「個人のスタッツが何であれ私が動揺することはない。動揺するとすれば、次のシュートを打つ意欲を失った時だ」とネスミスを擁護する。

「アーロンは素晴らしいシューターであり、これからも素晴らしいシュートを打ってくれるだろう。この試合でも彼の貢献は素晴らしいものだった。我々は人間であって機械ではないのだから、こんな日もあるさ」

指揮官の擁護はネスミス個人に限らない。「攻守において選手の努力が足りなかったとは思わない。終盤に粘り強いプレーで巻き返した選手の戦いぶりは称えたい。最後のプレーも素晴らしいものだった。足りなかったのは運だけだ」と、チームの姿勢を称えた。

課題は明確で、「ファウルの多さが問題だ。相手に37本ものフリースローを与えてはいけない」とカーライルは言う。「フリースローは時計が止まった状態で得点されるから、相手にディフェンスを整えられてしまう。それではウチの得意とするハイテンポなバスケができない。その部分の改善には集中しなければいけない」

そして何より、ケガ人の続出がペイサーズを苦境に追いやっている。特にバックコートはハリバートンはもちろん、経験豊富なシックスマンのTJ・マッコネルがハムストリングを痛めて戦線離脱。アンドリュー・ネムハードも肩の痛みでこの試合を欠場した。

昨シーズンのプレーオフで頭角を現したベン・シェパードが先発しているが、彼はシューティングガードだ。今のペイサーズに純粋なポイントガードはレイジェイ・デニスしかいない。彼は2ウェイ契約でペイサーズでの2年目を迎えているが、昨シーズンの出場は11試合のみ。ここまで期待以上のパフォーマンスを見せているが、ネムハードとマッコネルが復帰しない限りはペイサーズのバックコートに安定感は望めない。

さらにはベネディクト・マサリンやオビ・トッピンなど計算できる選手が戦線離脱しており、この状況でチームはよく健闘しているとも言える。開幕戦はサンダー相手にダブルオーバータイム、2戦目はグリズリーズに完敗を喫したものの、続くウルブズ戦は4点差、このマブス戦は最後のシュートさえ決まれば勝っていた。とはいえ、未勝利が続くのではいずれチームに不協和音が生まれる。まずは初勝利、そして苦しい状況を持ちこたえてケガ人の復帰を待ちたいところだ。

3年目のスモールフォワード、ジェレス・ウォーカーはこう語る。「毎試合ラインナップが変わる中でのアジャストは大変だけど、僕らはそのプロセスを通じて新しい学びを得ている。エネルギーは常にあり、何があろうと士気は落ちない。シーズンは長いから、ただ次の試合に集中して前に進み続けるだけだ」