ギディーによるボール運びと華麗なパッシングから展開
NBAは開幕から3試合消化の時点で、東西カンファレンスで無敗が2チームずつしかいない混戦となっています。その一つが予想外に好調なブルズで、3試合目となったホークス戦は互いにターンオーバーが少ないながらも、互いに速攻での得点が20を超えるハイスコアの展開となりました。
昨シーズンのブルズはデマー・デローザンが退団し、シーズン中にはザック・ラビーンも放出してチームを再構築。それまでのスローペースが嘘のように、ジョシュ・ギディーによるハイペースのバスケへと移行し、アシスト率やトゥルーシューティング(シュート効率)が大きく向上し、まったく別のチームへと変貌したのです。
ハイペースの基本になるのは、ギディーによるボール運びと華麗なパッシングから周囲が積極的に打っていくスタイルで、3ポイントシュートのアテンプト数はリーグ3位の44.2本と、それまでのイメージを覆して打ちまくっていました。停滞するチームは変化を必要としていましたが、シュートタッチに左右されるため安定感を欠き、さらにターンオーバーも多いことから勝率を上げるには至りませんでした。
そして迎えた今シーズンは、この弱点を埋めるため、センターのニコラ・ブーチェビッチを完全なストレッチセンターとしてアウトサイドに置き、時にはビッグマンを起用しないスモールラインナップにして、ゴール下にスペースを作ってのドライブアタックを増やしました。開幕2試合の3ポイントシュートは30本と27本。昨シーズンまでとは異なる形での連勝スタートでした。
3試合目となったホークス戦はインサイドを固めてこられたため、一転して43本と多くの3ポイントシュートを打ち、特に残り4分からアヨ・ドスンム、マタス・ブゼリス、ギディーと立て続けの3ポイントシュート攻勢で接戦を制しました。成功率は37.2%とそこそこだったものの、試合に出場した10人中9人が決めるバランスの良さでホークスに的を絞らせず、8人が2桁得点というチームオフェンスで開幕3連勝を飾りました。
3ポイントシュートを打つスタイルは変えずにインサイドでの得点を増やす変化は、戦い方の幅を広げました。加えてコビー・ホワイトがケガで離脱していることもあり、ギディーとともにトレ・ジョーンズをスターターで起用したダブルポイントガードのシステムは、誰もが活躍する戦術としても機能しています。
積極的に仕掛けていく『ラン&ガン』のイケイケな速攻スタイルではなく、ポイントガードの判断力を生かし、早い展開でも相手ディフェンスに応じて適切なプレーチョイスで仕留めていくのは、昨年ファイナルへ進んだペイサーズのスタイルを学んだような戦い方です。昨シーズンの戦い方をベースにしながら、明確なステップアップが見え、しかも成功事例が明確なだけに、躍進を期待させる3連勝となりました。
