ルカ・ドンチッチ

得点を奪うことに特化、攻めに攻めて42得点を記録

イタリアは粘り強いディフェンスと、試合ごとに主役が入れ替わるオフェンスでグループCを4勝1敗で突破した。オフェンスはエース不在で不安定ではあったが、ノックアウトラウンドでモノを言うのはディフェンスで、ルカ・ドンチッチ頼みのスロベニアとは互角以上の戦いができると見られていた。しかし、その予想をドンチッチは完全に破壊した。

イタリアの戦術は裏目に出た。オールスイッチでドンチッチに対応し、ダブルチームを送らず、ドンチッチの得点は許しても他の選手は封じるというゲームプランだったが、第1クォーターはスロベニアが29-11と圧倒。29得点のうち22得点、つまりイタリアの2倍の得点をドンチッチが挙げた。

イタリアが激しさを欠いたわけではない。どの選手もドンチッチには激しいコンタクトを仕掛けて、心身両面で削りにいった。選手交代でファウル数をマネジメントしながら、常に強度の高いプレーを仕掛けた。

それでもドンチッチには通用しない。ダブルチームに来ないと分かれば、ビッグマンが相手ならペリメーターからのジャンプシュートやフローターを放ち、アンダーサイズの選手であればゴール下まで押し込む。パスを使わずともピック&ロールから有利なマッチアップを選び、高確率でシュートを決めていった。84得点のうち半分の42得点をドンチッチが決め、ドンチッチのアシストは1つだけ。それでも他の選手が何もしなかったわけではない。オフェンスリバウンドでは15-9と上回り、セカンドチャンスポイントで16-11と上回った。ドンチッチのアシストがなくとも、彼らは身体を張って戦っていた。

後半にイタリアが巻き返せたのは、ドンチッチが好きな相手とマッチアップできるスイッチを止めて、ドンチッチが簡単には押し込めないフィジカルを持つ選手にマークさせた。終盤になってイタリアの思惑通り、ずっとエンジン全開だったドンチッチに疲れが出てきたが、第3クォーター終了時点で16点差は大きすぎた。

ダニーロ・ガリナーリ

残り2分で1点差まで巻き返すも、イタリアは敗退

21歳のサリウ・ニアンから今大会を最後に代表を引退する37歳のダニーロ・ガリナーリまで新旧のタレントが奮闘して追い上げ、イタリアの次世代を担うシモーネ・フォンテッキオの得点で残り2分で77-78と1点差まで詰め寄ったが、それが限界だった。最終スコア77-84でイタリアは敗れた。

ドンチッチはNBAのシーズンを終えた後、身体改造に取り組んだ。自分を放出したマーベリックスが、それを正当化するために「自己管理がなっていない」と批判したことに対する彼なりの回答だろう。イタリアは、その余波を、イタリアは理不尽に浴びる形となった。

33分の出場で42得点10リバウンド1アシスト3スティールと活躍したドンチッチについて、スロベニアの指揮官、アレクサンダー・セクリッチは「イタリアの激しい守備に晒され、その中にはイリーガルなコンタクトにも多数あったが、彼は耐え続けた。そのことはもっと評価されるべきだ」と称えた。

「我々にとってルカは最高の選手であり、おそらくこの大会で最高の選手だろう。多くのコンタクトを受けたが、次の試合までに快復してまたベストなプレーをしてくれることを願うよ」