「やっぱりチームで勝たなきゃダメなんだ」
北陸学院(石川県)は大会初戦で八戸学院光星(青森県)を破り、シード校の藤枝明誠(静岡県)も撃破。大会3日目は富田(岐阜県)を相手に第1クォーターを26-11と圧倒し、ベンチメンバーも流れを明け渡すことなく、ベンチ入りの12名が全員10分以上プレーするタイムシェアで72-49の完勝を収めた。
北陸学院は2人の留学生プレーヤーも含めて全員がチームルールを高いレベルで遂行できるのが強み。藤枝明誠戦と同じく、富田のやりたいバスケを徹底的に抑え込んだ。試合当日朝のミーティングで映像を見ながら確認したという富田の留学生対策が功を奏し、相手のセットプレーもすべて対策しており、チャンスを作らせずにブレイクに転じた。濱屋史篤コーチは「チーム力、ディフェンス力の勝利でした」と胸を張る。
キャプテンの小野蓮太は、最初に良い流れを作った後はベンチに座る時間が多く、21分とプレータイムは短かったが、3ポイントシュート4本成功を含む14得点を挙げた。「1回戦と2回戦は自分にタイトなマークがついて、3ポイントシュートを打たせてもらえなかったり自分のリズムで打てなかったのですが、今日はそれを断ち切る感じで決めることができました」
シューターとしての役割を果たせたことに安堵しつつも、この日はチーム力で勝てたことにキャプテンとして大きな手応えを感じている。「ベンチメンバーも全員使えて、誰が出ても同じバスケができるのが僕たちの強みなので、ここで全員を使って勝てたのは大きいと思います」
それと同時に、勝ったからこそ気を引き締めることも忘れない。「藤枝明誠を倒した時点でチームの雰囲気が良くなって自信も持てたのですが、天狗になってしまうようでは足元をすくわれるので、ちゃんとリカバリーして明日に備えます」
『全員バスケ』はどのチームも目指すものだが、実際にコート上で表現できるチームは多くない。どうしてもエースや留学生にボールを集める場面は出てくるし、そうしなければ勝てない現実もある。それでも北陸学院が高いレベルで『全員バスケ』を遂行できる理由を濱屋コーチはこう語る。
「小野蓮太も神保旺介も藤原弘大も、みんなタレントのある選手なので、どうしても自分でやりたがるところがあります。でもそれで潰されてきた経験があって、『やっぱりチームで勝たなきゃダメなんだ』となるまでに時間はかかりました。だからオフェンスも全員で作って、インサイドだけにならずアウトサイド、アウトサイドだけにならずインサイドというバランスを追求して準備をしてきました」
その地道な積み上げがインターハイで花開いている──のだが、濱屋コーチは「まだ合格点はあげられないレベルです。チームで動かすバスケがもうちょっとできると思いますし、大会期間中にかなり成長してもいるので、明日のゲームでも、そしてベスト4、決勝と成長を続けていきたいです」