ジェイレン・ウィリアムズとジュリアス・ランドル

攻守ともに上回ったサンダーが力の差を見せ付ける

西のカンファレンスファイナル第5戦は、ホームに戻ったサンダーが圧倒的な強さで30点差の勝利を収め、NBAファイナル進出を決めました。ティンバーウルブズはディフェンス力が売りのはずが、シリーズを通して平均117失点とサンダーのオフェンスを止められず、逆にサンダーはスティールが平均11.0回とディフェンスの特徴を存分に発揮しました。

そこには両エースの得点面の差も明確に出ていました。シェイ・ギルジャス・アレクサンダーが平均31.4得点を挙げたのに対し、アンソニー・エドワーズは23.0得点に留まりました。

ただし、これには両チームのディフェンス戦略の違いも関係しています。サンダーはエドワーズに対し、人数をかけてでも『ドライブをさせない』形を徹底して、彼がシュートを打つ機会をできる限り減らす方向へと仕向けました。一方でウルブズはシェイに対し、マンマークでドライブは許してもリムプロテクトで止める形を選んだのですが、ミドルレンジのフェイダウェイを多用するシェイにこのディフェンスは機能しませんでした。

第1戦でペイント内得点が20と苦戦したウルブズは、第2戦からはコーナーへ展開しての3ポイントシュートでスペースを構築する修正を行ったのですが、そのスペースをどう使うかでジュリアス・ランドルが迷ってしまいました。ランドルはシリーズを通して3ポイントシュート成功率47.8%とタッチは良かったのですが、ボールを持った時に迷いが生じることでサンダーのディフェンスに囲まれ、3.0アシストより多い3.6ターンオーバーとオフェンスの流れを止める結果となりました。

サンダーはナゲッツとのセミファイナルではチェット・ホルムグレンとアイザイア・ハーテンシュタインを重用しましたが、今回はスモールラインナップを多用し、ウルブズのツインタワーに高さとパワーで対抗するのではなく、起点を潰しに行くことを優先するディフェンスを選択しました。同時にオフェンスではスモールラインナップの特長であるスピードのミスマッチを使い、ドライブとキックアウトを組み合わせています。

ウルブズはシェイへのディフェンスに集中したかったのですが、ジェイレン・ウィリアムズがそれを許しません。巧みなハンドリングからミスマッチを誘導し、ビッグマンを引き出してのドライブはもちろん、フリーになれば3ポイントシュートを射貫くジェイレンのプレーは非常に効果的でした。シェイにディフェンスが集まってパスを展開された瞬間は、ディフェンスの体形が崩れています。サンダーはジェイレンを中心に、そこを的確に突いて得点へと繋げていったのです。

シェイとエドワーズの両エースはマンマークでは止めきれない存在でしたが、複数人で止めに行った後のセカンドエースの仕事に大きな差が出たシリーズでした。エドワーズが止められて分断されてしまったウルブズと、ジェイレンが得点へと繋げていくからこそシェイも徹底マークに苦しまずにハイスコアを連発できたサンダー。その差が4勝1敗という差になりました。