「プレーを楽しもうとするし、努力を怠らない」
ザイオン・ウイリアムソンはシーズン最初の6試合に出場した後、左ハムストリングの肉離れで2カ月の長期離脱となっていたが、現地1月7日のティンバーウルブズ戦で復帰を果たした。久々にコートに立った彼の身体は絞られており、動きにもキレがあった。初めて一緒にプレーするデジャンテ・マレーが前でプレッシャーを掛けたアンソニー・エドワーズの手元に飛び込んでボールを奪い、そのまま速攻に走って360°のウインドミル・ダンクを叩き込むシーンもあった。
それでもペリカンズはブランドン・イングラムの欠場が続いており、この日はトレイ・マーフィー三世も欠場。3ポイントシュートが41本中12本(29.3%)しか決まらず、第3クォーター後半からずっとビハインドを背負った。第4クォーター残り30秒で97-100と1ポゼッション差まで追い上げたが、反撃もそこまでだった。
それでも今のペリカンズにとっては、一つの勝敗よりもザイオンが復帰戦から彼らしさを発揮したことが重要だ。ヘッドコーチのウィリー・グリーンは「ここまで来るために彼は懸命に努力してきた」と、復帰までのプロセスを称えた。
28分の出場で22得点6リバウンド4アシスト3スティール1ブロックを記録したザイオンは「復帰できて良かった。チームメートと一緒にコートに立ち、ファンの前でプレーできたことがうれしい」と語り、いきなりの活躍について「ここから何試合も調整しなくていいよう、きっちり仕上げてきた」と続ける。
ケガを治し、調子を上げて、他の誰にも真似できないパワフルなパフォーマンスを見せてはまたケガをする。その繰り返しをずっと続けているザイオンだが、プロフェッショナル意識の面で自分の成長を実感している。「リハビリは本当に一生懸命にやった。これまでと違って、走れない間もコンディションを落とさないためのトレーニングをチーム側が考えてくれて、大変だったけど効果があった。時間はかかったけど、毎週毎週少しずつ良くなっていったんだ。だから今は自分が思うように足が動く」
豪快なダンクが話題になるが、この試合で目立ったのはディフェンス面の激しさであり、それは彼のコンディションの良さを証明するものだ。ディフェンスへの意識の高さについて質問されたザイオンは「ケガをする前から目標だった」と話す。「ただ座って試合を見ているしかない時間がたくさんあった。ペリカンズの試合はもちろん、他の試合もたくさん見て、いろんな選手から学べるものを探して、自分に取り入れようとしてきたんだ。ハーブ・ジョーンズやホセ・アルバラードがどう守っているか、オンボールの時もオフボールの時も注目してきた」
ザイオンの復帰は朗報だが、7勝30敗で西カンファレンスに沈むペリカンズは解体の危機にある。ザイオンにも契約の問題やトレードの噂が出ているが、「自分でコントロールできることはコントロールし、受け入れられることは受け入れる。僕ができるのは毎日練習場に来て、やるべきことを一生懸命にやり、それを楽しむだけだ」と言う。
2月のトレードデッドラインまでに大きなチーム再編があるかもしれない。それを別としても、ザイオン自身が再発しやすい筋肉の問題を抱えていることに変わりはなく、復帰ができても『ケガの連鎖から抜け出せたか』を証明する道のりはまだまだ長い。それでもコートに立ち、彼らしいプレーを見せられたことは大きな一歩だ。
「今の僕に与えられている状況が当たり前のものだとは思わない。だから僕はプレーを楽しもうとするし、努力を怠らないつもりだ」