ジョシュ・スコット

大敗に橋本竜馬は「出し切って初めて勝つチャンスが生まれてくる」

天皇杯の1週間を挟んでBリーグが再開。宇都宮ブレックスはよつ葉アリーナ十勝でレバンガ北海道と対戦し、パワフルかつ隙のないバスケを展開して前半だけで30点差を付け、93-70の圧勝を収めた。

宇都宮は鵤誠司の3ポイントシュートを皮切りに、比江島慎、ジョシュ・スコット、比江島の3ポイントシュートと4回連続でオフェンスを成功させ、試合開始から2分半で10-0とリードを奪った。セカンドユニットに切り替えてもチェイス・フィーラーに渡邉裕規、竹内公輔とハイペースで得点を重ねていく。

北海道は足を動かすディフェンスで宇都宮のフィジカルと高さに対抗するのだが、宇都宮はボールを持っていない選手が巧みに動いて常にパスコースを作り出すことでプレッシングの網に引っかからない。冷静にパスを回し、ミスマッチができれば的確に突いていく。シンプルではあるが個人のオフェンス能力をストレートに引き出す効率の良さが光った。フィーラー、比江島、鵤と3選手が前半だけで2桁得点を記録している。

一方の北海道はプレッシャーを掛けてもボールを奪えず、ディフェンスで仕掛ければ裏を突かれる。ターンオーバーを引き出してもトランジションに転じられない。ここは宇都宮の上手さで、ミスがあっても守備への切り替えが早く、北海道の欲しい『走ってイージーシュート』の場面を与えなかった。

前半を終えて53-23と30点差。後半になってオフェンスのキーマンとなる比江島に188cmの牧全が付き、ここで自由にアドバンテージを作れなくなったことでオフェンスの勢いが落ちる。それでも宇都宮のディフェンスには隙がなく、プレッシャーをかわせない北海道の選手たちは次第に仕掛ける積極性を失い、逃げのパスがターンオーバーになり、デモン・ブルックスやダニエル・ミラーにボールを預けると第2、第3の動きが出なくなった。北海道の佐古賢一ヘッドコーチは「相手のプレッシャーに対して消極的になってしまい、個々で戦うことを失い、小手先のバスケットをしてしまいました」と試合を振り返る。

ミラーが第3クォーターで7得点、橋本竜馬が難しいミドルジャンパーをねじ込んでバスケット・カウントをもぎ取るなど良いプレーもあったが、点差を詰めるには至らない。橋本のバスケット・カウントにしても、直後にあっさりと比江島とジョシュ・スコットの連携でバスケット・カウントをやり返されており、チームに勢いを与えるには至らなかった。

第4クォーター開始時点で31点差。もはや勝敗は決した後で宇都宮は集中力が落ち、いつもとは違うトリッキーなパスを狙っていくつかターンオーバーが続いたが、プレーの強度自体が落ちることはなく、緩みが出てもおかしくない時間帯を引き締める田臥勇太の存在感もあった。結局、宇都宮が北海道を寄せ付けず93-70と大勝している。

北海道はホームで手痛い大敗を喫した。ベテランの橋本竜馬は言う。「試合が終わった後、ロッカーで立てなくなるくらいの状況をどれだけの選手が体現できているか。心底チームの勝利のために、自分が何をしなければいけないのかを全員が考えているのか。我々のようなチームは、それを出し切って初めて勝つチャンスが生まれてくると思っているので、そこは自分が率先して実践して、チームを引っ張れるようにしていきたいと思います」