ハーフタイムに名古屋Dがオフェンスを修正、ビッグクォーターを作る
昨日の初戦は名古屋ダイヤモンドドルフィンズが94-68と大勝した富山グラウジーズとの第2戦。
富山は開幕からずっと先発だった晴山ケビン、松井啓十郎、ジョシュア・スミスをベンチに置き、水戸健史、ドワイト・ラモス、ブライス・ジョンソンを初先発させる。だが、その結果はパスが回らず、ジョシュアの不在でインサイドで預けることもできずに窮屈なオフェンスに。宇都直輝がミドルレンジのジャンプシュートを決めて先制したものの、後が続かない。これに対して名古屋Dは齋藤拓実を起点にバランスアタックを展開。第1クォーターだけで須田侑太郎、狩野祐介、張本天傑がそれぞれ6得点と、外国籍選手に頼らないオフェンスが機能して2桁のリードを生み出した。
しかし、第2クォーター早々に名古屋Dがアクシデントに見舞われる。攻守にダイナミックな動きでアドバンテージを生み出していた須田が、ジョシュアとのリバウンド争いでの接触により目が腫れてしまい、プレーを続けられなくなった。須田を欠いた名古屋Dはトーンダウン、逆に先発を外れた3人がコートに入ってこれまで以上のエナジーを出す富山に勢いが移った。
富山の追い上げのキーマンとなったのはベテランのディフェンスマン、水戸だった。名古屋Dの司令塔、齋藤をフェイスガードで執拗にマークすることでリズムを狂わせた。前半の最後はドワイト・ラモスが思い切りの良いドライブからの得点で締め、38-43と5点差まで追い上げた。
それでもハーフタイムを挟んで名古屋Dがオフェンスを修正する。厳しいマークを受ける齋藤がスイッチで水戸を引き剥がすタイミングに合わせて、他の選手も連動して齋藤のパスを引き出す。そうした形で齋藤のアシストを受けたコティ・クラークの3ポイントシュートが決まり、その直後に前からのプレッシャーでボールを奪い、クラークのワンマン速攻に繋げる。富山がタイムアウトを取った後も、齋藤のアシストから今度はシェーン・ウィティングトンの3ポイントシュートが決って名古屋Dが57-44と突き放した。
個々の奮闘が嚙み合わない富山、ルーキー上澤俊喜の活躍が収穫に
ハードワークが良い形で試合に反映されない富山は、ドワイト・ラモスがアンスポーツマンライクファウルをコールされるなどイライラが試合に出るようになり、時を同じくしてディフェンスとリバウンドでエナジーを出せなくなっていく。オフェンスリバウンドを連続で奪われ、フリースローで追加点を許し、気持ちを切り替えられないまま点差が広がっていった。
富山はマブンガに宇都と、チームを引っ張るべきタレントが何とか状況を打開しようと奮闘するのだが、単発に終わってチームとしての流れにならない。名古屋Dは齋藤を休ませる時間帯も伊藤達哉がチームをコントロールし、富山のオールコートプレスも巧みにかわしていく。第3クォーター残り3分、その伊藤がアグレッシブなドライブからレイアップを沈めて67-46、このクォーターを29-15と圧倒した名古屋Dが点差を20へと広げた。
第4クォーター、富山にとってはルーキーの上澤俊喜が思い切ったプレーで3ポイントシュート2本成功を含む8得点を挙げたのは収穫だった。しかしチームとしては最後まで嚙み合わず、最終スコア99-74で敗れた。チャンピオンシップに進出の昨シーズンから一転して開幕6連敗と厳しい状況。昨シーズンに主力を務めた若手が揃って移籍を選択し、その分のエナジー不足を補えずにいる。
名古屋Dは開幕3連敗の後の3連勝。富山との2試合はいずれも攻守に質の高さを見せた。ショーン・デニスを新たなヘッドコーチに迎えたばかりだが、中と外、外国籍選手と日本人選手のバランスの良さ、この試合での25アシストに対しターンオーバー7の安定感、またベンチスタートの選手もそれぞれ役割が与えられることでのチーム一体感と、早くも良さが出ている。