U-18日本代表でも取り入れた練習法を紹介

9月19日、U-18男子日本代表ヘッドコーチのトーステン・ロイブルが講師を務める『Euro Basketball Academy Coaching Clinic』がSt. Mary's International Schoolで開催された。

ロイブルは7月22日から31日にかけて行われたU-18のアジア選手権で日本を2位に導いたヘッドコーチである。アジアでの好成績により世界への出場権を獲得した日本は来年、U-19世界選手権に18年ぶりに参戦することになる。

そのロイブルが手掛ける『Euro Basketball Academy Coaching Clinic』は、選手、コーチ、そしてチームのレベル向上を目的とし、ヨーロッパと日本のバスケットボールをつなぐクリニックだ。

今回のテーマは「小柄な選手が、上背のあるチームと競い合う中で必要とされるコーチングスキル」。

ロイブルが最初に紹介したのはナショナルチームでも取り入れているというハンドリングの練習。2人一組で左手は常にドリブルをし続け、右手でボールを高く投げ上げ、相手からのパスを右手でキャッチし返球、そして高く上げたボールを右手でキャッチする。複数の動作を同時にやることで判断力を鍛え、ボールハンドリングも向上できる内容だ。

スピードクロスオーバーという練習ではオールコートに等間隔でパイロンを4つ置き、それを交わしてレイアップを決めるというものだった。この練習のポイントはいかにスピードを落とさずに、最短距離でドリブルできるか。ドリブルの回数を減らし(端から端まで4回のドリブルが理想)、前に押し出すようにすることでオフェンスが有利な状態を作り出せるとロイブルは説明した。

スピードクロスオーバーにディフェンスを付けて行う1対1の練習では、減速せずにシュートまで持っていくことを意識させていた。ドリブルが得意な選手ほど切り返したり、テクニックを駆使して抜こうとする傾向にあるが、それではトップスピードを犠牲にするため、ディフェンスに戻られてしまうという。

また速攻の始点となるリバウンド後にサイドに開いてパスを出す練習では、リバウンドはいちいち抱え込むのではなくいかに素早くパスをさばけるかを重視し、ガードに限らずどのポジションでもパスを受け取ることを意識させた。そうすることで速攻を出すタイミングを早める効果があるという。

「このシステムで約1年半やってうまくいった」

その後、2対1や3対2のアウトナンバーでの状況の動きやハーフコートの2メン、3メンでの動きを確認。そして、ノーマークを作るためのハーフコートオフェンスでのスクリーンプレーを説明し、クリニックは終了の時間を迎えた。

「これが唯一の方法というわけではありませんが」と前置きして、ロイブルはこう言い放った。「大きい相手に対してはプロのレベルにしてもナショナルチームでもこういう攻撃スタイルを試して、一番うまくいっています」

「時間のロスなしですぐにファストブレイクが出せる」、「ガードもセンターも動き続けることで(相手が疲れ)、最後のクォーターで差が出ます」と、日本のように小さいチームが勝つための練習法、理論を説明してくれた。

静岡から参加したジュニアクラブチームShizuoka Swagga ballersの監督を務める小川太は「私のチームは今回のコンセプトと合っていて、小さいチームがいかに高いチームと戦うかというのがコンセプトだったので、2メン・3メンのオートマティックをスムーズにやっていきたい」とチーム強化の参考になったと語った。

また全国中学校体育大会で優勝を果たした実践学園中学の森圭司ヘッドコーチは「こういうところに来ると指導者のモチベーションが上がります。自分のチームにもうちょっと適したような簡単な形で取り入れたい」と、指導者として大いに刺激を受けた様子だった。

次回は「どのようにして良いチームケミストリーを生み出すか」をテーマに10月27日、大宮北高校にて開催が予定されている。