安齋竜三

「一瞬の気の緩みがすべてを崩していく」

5月15日、宇都宮ブレックスはサンロッカーズ渋谷を111-74で下し、2連勝でセミファイナル進出を決めた。

SR渋谷のチャールズ・ジャクソンが負傷退場を余儀なくされたインサイドで宇都宮がアドバンテージを有効に使ったこと、そして、最後まであきらめない姿勢を貫いたSR渋谷に対し、宇都宮も最後まで真っ向勝負で対抗したことがこの最終スコアに繋がった。

安齋竜三ヘッドコーチは試合後のコートインタビューで「サンロッカーズ渋谷さんが相手だったから自分たちもこういう良いゲームができたと思います。皆さんの思いも次のセミファイナルに持って行って、皆さんの分までブレックスらしいバスケットで勝ち進みたいと思います」とSR渋谷の思いを背負う覚悟を表明した。

これが敗者に対するリップサービスではないことは明らかだった。チャンピオンシップがどういう場所かということをあらためて認識する2試合になったからだ。第1戦、宇都宮は最大で17点のリードを奪いながらも終盤に猛追され4点差まで迫られた。安齋ヘッドコーチは言う。

「チャンピオンシップはどう転ぶか分からない。一瞬の気の緩みがすべてを崩していくというのを何年か前に経験していて、今日は試合前にそれを選手に言ったんです。昨日のゲームは17点開いてから4点差までこられました。ウチのチームが集中していればなかなかないことだと思うんですけど、その集中力を上回った渋谷のすごさを昨日感じていました」

第2戦では、初戦以上に激しく来るSR渋谷に対して序盤は後手を踏み「出だしでいかれたらヤバいと思っていた」と言う。それでも、第1クォーターを同点でしのぐと、その後のクォーターをすべて上回った。ロスター入りした全選手が出場し11人が4得点以上を挙げる、まさに全員バスケを体現した結果となり、「相手の激しさや気持ちの強さを見せられて、自分たちがそれを上回ることができたのがこのシリーズだった」と安齋ヘッドコーチは振り返った。

セミファイナルの相手は川崎ブレイブサンダースvs大阪エヴェッサの勝者となるが、「どちらが来てもセミファイナルは自分たちの準備をすることが重要」という。そして、「上に行くチームはディフェンスが強いチームが多いです。そういう部分の対応も今回でいろいろ学べたので、次にしっかり生かせれば」と、最後までSR渋谷との戦いを教訓にしたい思いが見えた。

強敵との戦いを経たことで、初年度以来のリーグ制覇の可能性はより高まったと見ていいはずだ。

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