富樫勇樹

「あと1勝とは言わず、このまま2つ勝ってチャンピオンシップに」

5月5日、千葉ジェッツが敵地に乗り込み琉球ゴールデンキングスと対戦。第4クォーター終盤、富樫勇樹のクラッチシュートで追い付くと、オーバータイムでは得意のインサイドアタックで突き放し97-89で激闘を制した。これで7連勝の千葉は、チャンピオンシップのクォーターファイナルでホーム開催権を得る東地区2位まで、残り2試合であと1勝に迫っている。

第1クォーターに先手を取ったのは琉球で、出だしに並里成の連続得点、さらにドウェイン・エバンスがトランジションからのバスケット・カウントを決め10-2とする。その後、千葉はジャック・クーリーを故障欠場で欠く琉球に対し、ゴール下でのアドバンテージを生かしたセカンドチャンスからの得点で応戦。だが、琉球はテンポの良いボールムーブから高確率でシュートを決め切り10点をリードする。しかし、第2クォーターになると、千葉は前半にセカンドチャンスポイントでの13-0が示すインサイドで優位に立つことで反撃し、4点差に縮めて前半を終えた。

第3クォーター、千葉はセバスチャン・サイズがこのクォーターだけで14得点と、ゴール下を支配。琉球もドウェイン・エバンスが3ポイントシュートにドライブと、どこからでも攻められる持ち前の得点能力を発揮してやり返し、互角のまま第4クォーターに突入する。

試合は、このまま僅差で終盤まで進んでいくが、チーム全員でリバウンドへの執着心を見せる琉球に対して千葉はセカンドチャンスの得点が前半のように伸びない。残り52秒には田代直希にオフェンスリバウンドを押し込まれて80-83とリードを許す。さらに直後のポゼッションで、千葉はシャノン・ショーターに痛恨のラインクロスと嫌な展開となった。

だが、ここで富樫が値千金の仕事を見せる。まずここまでフィジカルのミスマッチを突かれ何度からやられていた並里のポストアップに対し、見事なディフェンスでスティールに成功。そのまま敵陣に攻め込むと、残り4秒で同点の3ポイントシュート弾を決めた。オーバータイムで琉球の外角シュートがことごとく外れる中、千葉は強みのインサイドで着実に加点。残り40秒、富樫がフリースロー2本をきっちり決めて4点差としたことが決め手となり、千葉が激闘を制した。

並里成

敗れた琉球にも収穫、並里成「積極的にアタックし続けた」

日曜日のA東京戦に続き、延長戦を制した千葉の大野篤史ヘッドコーチは、「タフなスケジュールの中、最初はインテンシティが低かったですが、最後まであきらめず戦ったことが勝利に繋がった」と、選手たちを称える。そして、富樫も「本当に絶対、負けられない試合でした。出だしは少し軽く入っていまいましたが、カムバックして勝てた。それがすべて」と勝利の重みを強調する。

この試合、富樫はフィールドゴール11本中3本成功の12得点4アシストで、「試合を通して、自分の思い通りのプレーができず、なかなかチームを助けられませんでした」と振り返ったように、攻撃面では本領発揮とはならず。だが、終盤の同点3ポイントシュートに繋がったスティールに加え、また延長でも残り3分46秒、このパスが通ればレイアップを決められ同点となる場面で、懸命に戻ってスティールと、要所での守備のビッグプレーも光った。

これで東地区2位確定に王手をかけた千葉だが、富樫はその先まで見据えてこう語る。「あと1勝とは言わず、このまま2つ勝ってチャンピオンシップに臨めればと思います」

一方、琉球は、1週間前に続きホームで千葉相手に連敗した。ただ、藤田弘輝ヘッドコーチは、「インサイドであれだけアドバンテージを取られた中、選手たちがファイトし続け、ディフェンスでやるべき事を遂行してくれました。結果に結びつかなかったものの、クーリー選手がいない状況でも自分たちのバスケットボールをやり続け、勝負できたことは収穫でした」と、前回に比べて手応えを感じている。

16得点4アシストの並里も、敗れたことへの悔しさはあるが、ポシティブな部分もあったと見ている。「クーリー選手がいない状況で、積極的にアタックし続けたことが良い入りに繋がったと思います。強い千葉とこのような競った試合をできたこと、結果は伴わなかったですが自分たちの目標とするハードワークをし続けられたことはチームとしてプラスになったと思います」

琉球は8日、9日と京都ハンナリーズをホームに迎える。3試合プレーして未勝利の沖縄アリーナで今度こそ勝利をつかみ、良い流れでチャンピオンシップを迎えたい。